相続人が協力してくれないときの対応法は?

    2025年6月12日
    • 相続手続き

    相続手続きを進める中で、「一部の相続人が非協力的で困っている」というご相談を受けることがあります。

    「遺産分割協議に応じてくれない」「書類に署名しない」「連絡が取れない」

    こうした事態は、相続の現場では珍しくありません。

    今回は、相続人の協力が得られない場合の対処法と、司法書士ができる支援内容について解説します。


    ◆ よくある「協力しない相続人」の例

    • 「面倒だからやりたくない」と言って書類を送っても無視

    • 電話や手紙をしても連絡がつかない

    • 遺産分割に納得できず、協議を拒否している

    • 明確な反対はしないが、ずっと保留のまま進めてくれない


    ◆ 相続手続きは原則「全員の協力」が必要

    特に以下のような手続きでは、全員の署名・押印(実印)と印鑑証明書が必須です。

    • 不動産の名義変更(相続登記)

    • 銀行・証券口座の名義変更や解約

    • 遺産分割協議書の作成

    1人でも欠けてしまうと、手続きは進みません。


    ◆ 対応策1:まずは丁寧な働きかけを

    感情的な対立がない場合は、以下のような方法で慎重に進めることが大切です。

    • 手紙で相続内容を説明し、印鑑を依頼

    • 第三者(司法書士等)が中立の立場で説明を行う

    • 話し合いの場を設け、意見を聞き取る

    → 無用な誤解を避け、手続きへの理解を促すことが有効です。


    ◆ 対応策2:家庭裁判所に「調停」や「審判」を申し立てる

    どうしても協議に応じない、連絡がつかない場合は、家庭裁判所の手続きを活用することが可能です。

    ◎ 遺産分割調停

    → 中立の裁判官や調停委員のもとで話し合いを行う制度
    → 合意に至れば「調停調書」が作成され、そのまま法的効力あり

    ◎ 審判(裁判官による判断)

    → 調停でもまとまらない場合は、裁判所が分割内容を決定します


    ◆ 対応策3:登記だけを進める「法定相続分での相続登記」

    遺産分割協議がまとまらない場合でも、不動産については法定相続分どおりに名義変更することが可能です。

    ただし、後々の処分(売却・分割等)は難しくなるため、「ひとまず登記だけ済ませておく」場合に限られます。


    ◆ 専門職の関与でスムーズになることも

    弊所のような司法書士が間に入ることで、

    • 相続人全体への中立的な説明

    • 書類作成・押印依頼の代行

    • 手続きスケジュールの提示と管理

    など、冷静な手続き進行が可能となります。


    ◆ まとめ

    • 相続は原則、相続人全員の協力が必要

    • 非協力的な相続人には、働きかけや家庭裁判所の利用を

    • 相続登記だけを法定相続分で進める選択肢もある

    • 司法書士が中立的に調整することで、円満な解決へつながる


    ◆ ご相談は弊所まで

    相続手続きで「一部の相続人が協力してくれない」とお困りの方は、ぜひ幣所までご相談ください。

    専門家の立場から、状況に応じた最善の方法をご提案いたします。

    後見人が亡くなった場合の手続きとは?相続や遺産承継への影響も解説

    2025年6月8日
    • 成年後見

    成年後見制度を利用している方の中には、「後見人が先に亡くなってしまったらどうなるのか」と不安を抱えるご家族も少なくありません。

    とくに、後見人を家族以外の専門職に依頼している場合、その後の手続きに戸惑うケースも多く見られます。

    本日は、後見人が亡くなった場合の流れと、被後見人が亡くなった後の相続・遺産承継手続きとの関係について、司法書士の視点からわかりやすく解説します。


    ◆ 後見人が亡くなったらどうなる?

    後見人が死亡した場合、その職務は終了します。

    しかし、被後見人が存命であれば、後任の後見人を選任する必要があります。

    後見人がいなくなった状態は「後見開始決定があるのに監督者が不在」の状態になるため、家庭裁判所に対して以下の手続きを行います。


    ✅ 家庭裁判所への申し立てが必要

    • 申立人:親族、福祉施設、専門職、地方自治体など

    • 必要書類:後見人死亡の証明書類、被後見人の診断書など

    • ポイント:緊急対応として「一時的な後見人」(暫定的後見人)が選任されることもあります。


    ◆ 被後見人がその後に亡くなった場合の注意点

    後見人が亡くなった後、被後見人もまもなく他界されるケースは実務上も多く見られます。

    このとき注意すべき点は以下のとおりです。


    ✅ 1. 通帳・不動産などの名義調査が滞る可能性

    前任の後見人が財産をきちんと整理していなかった場合、

    後任後見人の選任が遅れることで、通帳の取引履歴・証券の残高などの調査が難航する恐れがあります。


    ✅ 2. 「後見人だった人」は相続人ではないことに注意

    後見人だった人が遺産を相続できるのは、あくまで法定相続人である場合に限られます。

    たとえ長年関わっていたとしても、法的な相続権は発生しません。


    ✅ 3. 遺産承継業務と後見業務は別物

    「後見人をしていたから、相続手続きもそのままできる」と思われる方もいらっしゃいますが、

    実際には、相続の手続きには別途、相続人の協力や司法書士等の介入が必要です。


    ◆ 後見人が専門職(司法書士・弁護士)の場合のメリット

    弊所のような専門職が後見人を務めていた場合、以下の点でご家族にとって大きなメリットがあります。

    • ✅ 財産管理記録が明確に整理されている

    • ✅ 相続発生後もそのまま承継業務を依頼できる

    • ✅ 死後の事務や遺言執行など、包括的な対応が可能

    後見の段階から相続を見据えた準備をしておくことで、ご家族の精神的・経済的負担は大きく軽減できます。


    ◆ まとめ

    • 後見人が亡くなったら、家庭裁判所に後任選任の申し立てが必要

    • 被後見人が亡くなった場合、相続人が遺産承継の主役となる

    • 専門職後見人であれば、財産の引継ぎ・相続手続きまで一貫して任せることが可能


    ◆ ご相談は弊所まで

    木村光太朗司法書士事務所では、成年後見業務と遺産承継手続きを多く取り扱っております。

    「家族に後見人が必要かもしれない」「後見と相続、何から始めればいいか不安」

    といった場合も、まずはお気軽に弊所にご相談ください。