死後事務委任契約とは?任意後見と一緒に検討すべき理由

「任意後見契約を結んで安心した…」と思っている方へ。

実は、任意後見契約では“死後”のことまではカバーできないという点、ご存じでしょうか?

本日は、老後の備えを万全にするために重要な「死後事務委任契約」について、司法書士の視点から解説します。


◆ 任意後見契約の限界:亡くなった後は対象外

任意後見制度は、判断能力が低下したときに備えて、信頼できる人に財産管理や身上保護を任せる制度です。

しかし、任意後見の効力は本人の死亡により終了します。

つまり、次のような「死後の事務」は、任意後見契約では対応できません。


◆ 死後に発生する主な事務

  • 病院や介護施設への支払い・退去手続き

  • 役所への死亡届、健康保険・年金の喪失手続き

  • 火葬・埋葬・納骨などの葬儀関係

  • 賃貸住宅の解約や原状回復対応

  • 公共料金の解約・精算、遺品整理 など

→ これらを家族や友人に丸投げする形になると、トラブルの元になりかねません。


◆ 死後事務委任契約とは?

死後の各種手続きを信頼できる人に事前に依頼しておく契約です。

公正証書で作成するのが一般的で、任意後見契約とセットで作成するケースが増えています。


◎ 主な内容(例)

  • 死亡後の住居の整理・退去

  • 病院や施設への費用清算

  • 役所や金融機関への届け出

  • 葬儀・納骨の手配

  • ペットの引き渡し など

※報酬や手続き方法も契約内容に含めておくと安心です。


◆ なぜ司法書士への依頼が有効か?

死後事務委任契約は、契約内容の履行を確実に行う必要があります。

その点、司法書士のような職業専門家に依頼することで、以下のメリットがあります。

  • ✅ 信頼性と継続性(業として遂行可能)

  • ✅ 公正証書作成のサポートも可能

  • ✅ 相続・遺言・任意後見とのトータル設計ができる


◆ 遺言書とのセットがおすすめ

死後事務委任契約は、財産の分配(相続)を指示するものではありません。

そのため、遺言書を一緒に作成しておくことが重要です。

  • 遺言書:相続財産の分け方などを指定

  • 死後事務委任契約:相続以外の死後の雑務を指定
    → この2つをセットで用意することで、相続人や親族の負担を最小限に抑えることができます。


◆ まとめ

  • 任意後見契約だけでは「死後の手続き」はカバーできない

  • 死後事務委任契約を活用すれば、葬儀や整理なども安心

  • 遺言書・任意後見・死後事務の「3点セット」が理想

  • 専門家に依頼しておくことで、確実かつ円滑に遂行される


◆ ご相談は木村光太朗司法書士事務所まで

当事務所では、任意後見・遺言・死後事務委任契約を一体的にご提案しています。

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