相続人が協力してくれないときの対応法は?
相続手続きを進める中で、「一部の相続人が非協力的で困っている」というご相談を受けることがあります。
「遺産分割協議に応じてくれない」「書類に署名しない」「連絡が取れない」
こうした事態は、相続の現場では珍しくありません。
今回は、相続人の協力が得られない場合の対処法と、司法書士ができる支援内容について解説します。
◆ よくある「協力しない相続人」の例
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「面倒だからやりたくない」と言って書類を送っても無視
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電話や手紙をしても連絡がつかない
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遺産分割に納得できず、協議を拒否している
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明確な反対はしないが、ずっと保留のまま進めてくれない
◆ 相続手続きは原則「全員の協力」が必要
特に以下のような手続きでは、全員の署名・押印(実印)と印鑑証明書が必須です。
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不動産の名義変更(相続登記)
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銀行・証券口座の名義変更や解約
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遺産分割協議書の作成
1人でも欠けてしまうと、手続きは進みません。
◆ 対応策1:まずは丁寧な働きかけを
感情的な対立がない場合は、以下のような方法で慎重に進めることが大切です。
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手紙で相続内容を説明し、印鑑を依頼
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第三者(司法書士等)が中立の立場で説明を行う
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話し合いの場を設け、意見を聞き取る
→ 無用な誤解を避け、手続きへの理解を促すことが有効です。
◆ 対応策2:家庭裁判所に「調停」や「審判」を申し立てる
どうしても協議に応じない、連絡がつかない場合は、家庭裁判所の手続きを活用することが可能です。
◎ 遺産分割調停
→ 中立の裁判官や調停委員のもとで話し合いを行う制度
→ 合意に至れば「調停調書」が作成され、そのまま法的効力あり
◎ 審判(裁判官による判断)
→ 調停でもまとまらない場合は、裁判所が分割内容を決定します
◆ 対応策3:登記だけを進める「法定相続分での相続登記」
遺産分割協議がまとまらない場合でも、不動産については法定相続分どおりに名義変更することが可能です。
ただし、後々の処分(売却・分割等)は難しくなるため、「ひとまず登記だけ済ませておく」場合に限られます。
◆ 専門職の関与でスムーズになることも
弊所のような司法書士が間に入ることで、
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相続人全体への中立的な説明
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書類作成・押印依頼の代行
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手続きスケジュールの提示と管理
など、冷静な手続き進行が可能となります。
◆ まとめ
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相続は原則、相続人全員の協力が必要
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非協力的な相続人には、働きかけや家庭裁判所の利用を
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相続登記だけを法定相続分で進める選択肢もある
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司法書士が中立的に調整することで、円満な解決へつながる
◆ ご相談は弊所まで
相続手続きで「一部の相続人が協力してくれない」とお困りの方は、ぜひ幣所までご相談ください。
専門家の立場から、状況に応じた最善の方法をご提案いたします。