相続手続きをまとめて任せる「遺産整理業務」とは?銀行等との費用・違いを司法書士が解説

    2026年9月15日
    • 相続手続き

    「親が亡くなったが、銀行・証券会社・不動産の手続きをどこから始めればよいか分からない」

    「仕事を休んで、平日に何度も窓口へ行くのが難しい」

    「相続人が遠方に住んでいるため、書類のやり取りだけでも時間がかかる」

    相続では、戸籍の収集、不動産の相続登記、預貯金の解約、証券口座の移管など、複数の窓口で手続を進めることがあります。

    日本司法書士会連合会の相続情報サイトも、窓口が多数に分かれること、平日の日中の対応が多いこと、必要書類や期限があることを、相続手続が複雑になりやすい理由として挙げています。

    こうした相続手続を、委任内容に応じてまとめて支援するのが「遺産整理業務」または「遺産承継業務」です。

    今回は、遺産整理業務で依頼できること、司法書士だけでは対応できないこと、銀行等のサービスとの費用・役割の違い、相談前に準備したい資料を解説します。

    遺産整理業務の内容と銀行等との費用の違いを解説する司法書士木村光太朗

    遺産整理業務とは

    「遺産整理業務」は、法律で一律に内容が決められた一つの手続名ではありません。

    依頼者様との委任契約に基づき、相続関係や財産の状況を整理し、預貯金・有価証券・不動産などの承継手続をまとめて進めるサービスの総称として使われています。

    対応範囲は、事務所や金融機関、相続財産の内容によって異なります。

    そのため、名称だけで比べるのではなく、「どこまで料金に含まれるか」「何が別料金か」「誰が実際の手続を担当するか」を確認することが重要です。

    遺産整理業務の主な流れ

    当事務所での具体的な受任範囲は個別に確認しますが、一般的には次の順序で整理します。

    1.遺言書と期限の確認

    最初に、公正証書遺言、自宅で保管されていた自筆証書遺言、法務局に保管されている自筆証書遺言の有無を確認します。

    相続放棄を検討する場合、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。

    また、相続税の申告が必要な場合、原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内が期限です。

    遺産整理を依頼するかどうかを考える前に、まず期限を過ぎる可能性がないかを確認します。

    2.相続人の確認

    亡くなった方の出生から死亡までの戸籍などを収集し、法律上の相続人を確認します。

    必要に応じて「法定相続情報一覧図」を作成して法務局へ申し出ると、その写しを不動産、預貯金など複数の相続手続で利用できます。

    戸籍の束を各窓口へ繰り返し提出する負担を減らし、手続を並行して進めやすくなる場合があります。

    3.相続財産と債務の整理

    固定資産税の納税通知書、通帳、残高証明書、証券会社からの通知、保険関係書類、借入れに関する資料などを基に、財産と債務を整理します。

    資料にない財産まで必ず発見できるわけではありません。郵便物、メール、確定申告書、取引履歴なども手掛かりにしながら、調査する範囲と方法を依頼者と確認します。

    4.分け方を相続人全員で決める

    遺言書がなく、相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を取得するかを相続人全員で協議します。

    司法書士は、合意内容に基づく遺産分割協議書の作成や登記手続を支援できますが、相続人間の対立について一方の代理人として交渉することはできません。

    話合いがまとまらない、使途不明金や遺留分などについて争いがある場合は、弁護士への相談が必要です。

    遺産分割調停・審判など家庭裁判所の手続が必要になることもあります。

    5.預貯金・証券・不動産などの承継手続

    合意内容が固まった後、金融機関ごとの書類を整え、預貯金の解約・払戻し、証券口座の移管などを進めます。

    不動産がある場合は、司法書士が相続登記を申請します。

    金融機関によって書式や必要書類が異なり、同じ戸籍や印鑑証明書でも有効期限の扱いが異なることがあります。

    全体の順序を組み、書類の取得回数を抑えることが、遺産整理業務を依頼するメリットの一つです。

    6.相続人への引渡しと完了報告

    各手続が完了したら、預り金や承継した財産を合意内容に沿って引き渡し、処理した手続と預り書類を報告します。

    実際の方法は契約内容や金融機関の取扱いによって異なります。
     

    司法書士にまとめて相談するメリット

    相続登記と金融資産の手続を分断しにくい

    相続財産に不動産が含まれる場合、相続登記は司法書士の中心的な業務です。

    戸籍や遺産分割協議書を、不動産と金融資産の双方を見据えて準備できます。

    担当者へ直接相談できる

    当事務所では、相談内容と資料を確認したうえで、受任する範囲と見積りを事前にご説明します。

    途中で税理士、弁護士、不動産会社などの関与が必要になった場合も、何を誰に相談すべきかを整理します。

    必要な手続だけを選べる

    「預貯金だけを依頼したい」「戸籍と法定相続情報一覧図まで頼みたい」「不動産を含めて全体を整理したい」など、状況によって必要な範囲は異なります。

    すでに終わっている手続を重ねて依頼する必要はありません。

    司法書士だけでは対応できないこと

    遺産整理業務を「相続に関することを何でも代理できるサービス」と捉えるのは正確ではありません。

    • 相続人同士で争いがある場合の代理交渉:弁護士の業務

    • 相続税申告、税額計算、税務判断:税理士の業務

    • 不動産の売却仲介や査定:宅地建物取引業者等の業務

    • 家庭裁判所での調停・審判における代理:原則として弁護士の業務

    司法書士は裁判所提出書類の作成を支援できますが、代理できる範囲とは別です。

    案件ごとに専門家の役割を分ける必要があります。

    銀行等へ依頼する場合との違い

    遺産整理業務は、銀行・信託銀行なども提供しています。

    安心感、支店網、金融資産に関する窓口の集約などは金融機関の強みです。

    一方で、料金体系や別途費用はサービスごとに違います。

    2026年9月15日に確認した公開料金の一例では、ある大手銀行の一般的な相続手続代行サービスは、対象財産の額に応じた料率制で、最低手数料を110万円(税込)としています。

    不動産の相続登記に必要な登録免許税・司法書士報酬や、相続税申告に必要な税理士報酬などは別途負担です。

    同じ金融機関には、相続人5人以下、財産・取引金融機関数などの条件をすべて満たす場合に55万円(税込)となる別プランもあります。

    一方、当事務所の料金表では、預貯金や株式口座に関する遺産承継業務について、財産額3,000万円の例を60万5,000円(税込)としています。

    「司法書士なら銀行より必ず安い」と結論づけることはできません。対象財産、相続人数、金融機関数、不動産登記を含むか、財産の評価方法、実費、他士業の報酬が同じではないからです。

    ただし、一般プランの最低手数料と比べると、司法書士に依頼された方が費用を抑えられるケースがあります。

    また、司法書士へ直接依頼することで、相続登記を含めた法的手続の担当者が明確になる点も比較材料です。

    依頼先を決めるときは、総額だけでなく、同じ前提条件で書面の見積りを取り、業務範囲と追加費用を比較してください。

    初回相談でお持ちいただきたい資料

    全てそろっていなくても相談できます。手元にあるものだけで構いません。

    • 遺言書、遺言書保管事実証明書など

    • 亡くなった方と相続人の戸籍、住民票など

    • 固定資産税の納税通知書、権利証、登記事項証明書

    • 通帳、キャッシュカード、銀行からの郵便物

    • 証券会社・保険会社からの通知

    • 借入れ、住宅ローン、未払金に関する資料

    • 相続人の氏名、住所、連絡先をまとめたメモ

    相続放棄を検討している場合や、借金の有無が分からない場合は、財産を処分する前に早めにご相談ください。

    まとめ

    遺産整理業務は、戸籍の収集、相続人・財産の整理、預貯金や証券の承継、不動産の相続登記などを、委任範囲に応じてまとめて進めるサービスです。

    銀行等にも同様のサービスがありますが、料金体系、利用条件、別途費用、実際の担当範囲は異なります。

    「どこが一番安いか」だけではなく、自分の相続で必要な手続が見積りに含まれているかを確認することが大切です。

    木村光太朗司法書士事務所では、まず相続財産と必要な手続を整理し、当事務所で対応する範囲と費用をご説明します。

    相続人間の争いや税務など、別の専門家が必要な内容は区別してご案内します。

    茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で、「相続手続をまとめて相談したい」「平日に何度も窓口へ行けない」とお困りの方は、資料がそろっていない段階でもご相談ください。

    FAQ

    Q1.預貯金や証券口座だけでも依頼できますか?

    はい。対応できる範囲は金融機関・証券会社や口座の状況によりますが、必要な部分だけを依頼できる場合があります。

    初回相談時に、すでに済んでいる手続と残っている手続を確認します。

    Q2.相続人全員の同意がなくても進められますか?

    遺産分割が必要な場合、原則として相続人全員の合意が必要です。

    一部の相続人を除いて分け方を決めることはできません。

    連絡が取れない相続人がいる場合は、家庭裁判所の手続が必要になることがあります。

    Q3.相続人同士でもめている場合も司法書士へ任せられますか?

    司法書士が一方の相続人を代理して、相手方と遺産分割の交渉をすることはできません。

    争いがある場合は弁護士へつなぎ、司法書士は必要に応じて登記や裁判所提出書類の作成など、対応できる範囲を担当します。

    Q4.相続税の申告も料金に含まれますか?

    相続税の申告・税務判断は税理士の業務で、司法書士の報酬には通常含まれません。

    申告の可能性がある場合は税理士への相談を案内します。

    相続税の申告期限は、原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内です。

    Q5.銀行に依頼するより安いですか?

    一般的な銀行の料率制サービスと比べて費用を抑えられるケースはありますが、必ず安いとは限りません。

    金融機関には条件付きの定額プランもあり、業務範囲や別途費用も異なります。

    同じ条件で見積りを比較してください。

    Q6.遠方に相続人や財産があっても相談できますか?

    可能な場合があります。戸籍収集や書類の授受は郵送で進められることもあります。

    不動産、金融機関、相続人の所在地と、現地対応が必要な手続の有無を確認してご案内します。

    Q7.最初の相談までに書類を全て集める必要がありますか?

    いいえ。手元にある通帳、固定資産税の通知、証券会社からの郵便物、遺言書などをお持ちください。

    資料が不足している場合は、何をどの順番で集めるかから整理します。

    出典・参考資料

    公開日・最終更新日:2026年9月15日
    執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)

    相続土地国庫帰属制度は実際に使える?国庫帰属3,008件―2026年最新統計を司法書士が解説

    2026年8月31日
    • 相続手続き

    「親から相続した山林が遠方にあり、管理に行けない」

    「使う予定のない農地や空き地を、子どもに残したくない」

    このような悩みを抱えている方にとって、相続した土地を国に引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」は、有力な選択肢の一つです。

    法務省は2026年8月21日、同制度に関する最新の統計を公表しました。

    今回は、2026年7月31日現在の統計を基に、実際の利用状況、申請できる土地の条件、必要な費用、司法書士が支援できる範囲を解説します。

    相続土地国庫帰属制度の2026年最新統計を解説する司法書士木村光太朗と相続した土地のイメージ

    相続土地国庫帰属制度とは

    相続土地国庫帰属制度は、相続または相続人に対する遺贈によって取得した土地について、一定の条件を満たした場合に、所有権を国庫へ帰属させる制度です。

    相続放棄とは異なり、預貯金や自宅などの財産を相続しながら、利用予定のない特定の土地について国庫帰属を検討できる点が特徴です。

    ただし、申請すれば必ず国が引き取ってくれる制度ではありません。法令上の要件を満たし、法務局による書面審査や実地調査を経て承認される必要があります。

    最新統計では国庫帰属が3,008件

    法務省の統計によると、2026年7月31日現在の状況は次のとおりです。

    • 申請件数:5,863件
    • 国庫に帰属した件数:3,008件
    • 却下件数:85件
    • 不承認件数:96件
    • 取下げ件数:1,102件

    国庫に帰属した土地の内訳は、宅地1,115件、農用地964件、森林199件、その他730件です。

    一方、取下げ1,102件のうち571件は、自治体や隣接地所有者などから土地を有効利用できる見込みが示されたことによるものです。

    制度の検討過程で、売却、隣接地所有者への譲渡、自治体等による活用といった別の解決方法が見つかる場合もあることが分かります。

    なお、3,008件を申請総数5,863件で割った数字を、そのまま「承認率」と捉えることはできません。申請総数には審査中の案件や取下げられた案件も含まれるためです。

    申請できる人

    原則として、相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得した所有者が申請できます。

    土地が共有の場合は、共有者全員で共同申請する必要があります。

    共有者のうち少なくとも一人が相続等によって持分を取得している場合には、他の共有者が売買などで持分を取得していても、一定の条件の下で共同申請できることがあります。

    一方、土地を単独で購入した人が「使わなくなった」という理由だけで申請することはできません。

    国庫帰属が難しい土地

    次のような土地は、申請段階で却下されたり、審査の結果として不承認となったりする可能性があります。

    • 建物がある土地
    • 抵当権などの担保権や使用収益権が設定されている土地
    • 通路、墓地、境内地など、他人による使用が予定されている土地
    • 土壌汚染がある土地
    • 境界が明らかでない土地
    • 所有権の範囲について争いがある土地
    • 地上または地下に、管理や処分を妨げる物がある土地
    • 危険な崖があるなど、通常より多くの管理費用を要する土地

    例えば、古い家屋が残っている場合は、そのままでは申請できません。

    建物を取り壊したとしても、境界や埋設物など、ほかの要件について改めて確認する必要があります。

    申請に必要な費用

    申請時には、土地1筆につき1万4,000円の審査手数料が必要です。

    審査手数料は、申請を取り下げた場合や不承認となった場合でも原則として返還されません。

    さらに、承認を受けた後には、国による10年分の管理費用に相当する負担金を納付します。

    負担金は20万円を基準とする土地もありますが、市街地の宅地、農用地、森林などは、土地の種類や面積に応じて金額が増える場合があります。

    建物の解体、境界の確認、残置物の撤去などが必要な場合は、それらの費用も別途考えなければなりません。

    まず国庫帰属だけに決めないことが重要

    利用予定のない土地であっても、最初から国庫帰属だけに絞る必要はありません。

    申請前に、次の可能性を比較することが大切です。

    1. 一般の不動産市場で売却できないか
    2. 隣接地の所有者に譲渡できないか
    3. 地元の自治体や地域団体が活用できないか
    4. 農地であれば農業委員会等への相談が必要ではないか
    5. 国庫帰属の要件と費用を満たせるか

    法務局への事前相談を利用するときも、登記事項証明書、公図、地積測量図、現地写真、固定資産税の納税通知書などを準備しておくと、相談を進めやすくなります。

    司法書士に相談できること

    司法書士は、相続土地国庫帰属制度の申請書や添付書類の作成を業務として行うことができます。

    また、相続関係や共有関係の確認、相続登記、登記記録と公図の確認などは、制度の利用を検討するうえで重要な準備となります。

    ただし、国庫帰属の申請そのものを、司法書士が通常の代理人として行うことはできません。申請者本人または法定代理人が申請する制度であることには注意が必要です。

    当事務所では、次のような点を整理しながら、制度を利用できる可能性を検討します。

    • 誰が土地を相続しているか
    • 相続登記や共有者の整理が必要か
    • 登記記録と現地の状況に違いがないか
    • 国庫帰属以外の方法と比較すべきか
    • 申請書や添付書類をどのように準備するか

    測量、建物解体、売却、税務など他分野の確認が必要な場合には、必要な相談先を含めて整理します。

    まとめ

    2026年7月末までに、相続土地国庫帰属制度を利用して3,008件の土地が国庫に帰属しています。

    制度が実際に利用されていることは確かですが、土地の状態、境界、権利関係、管理上の負担などによっては利用できません。

    申請手数料や負担金に加え、申請前の整備費用が必要になる場合もあります。

    相続した土地を「使わないからすぐ国へ」と考えるのではなく、登記と現地の状況を確認し、売却や譲渡などの可能性も含めて比較することが大切です。

    茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で、相続した土地や相続登記についてお困りの方は、木村光太朗司法書士事務所へご相談ください。

    土地が遠方にある場合も、まずは資料を基に必要な手続きを整理します。


    FAQ

    Q1.建物が残っている土地でも申請できますか?

    建物がある土地は申請できません。建物を取り壊した後も、境界、担保権、埋設物など、ほかの要件を満たす必要があります。

    Q2.自分で購入した土地を国に引き取ってもらえますか?

    購入によって取得した土地だけでは、原則として申請できません。相続または相続人に対する遺贈によって取得した土地が対象です。

    Q3.共有名義の土地でも利用できますか?

    利用できる可能性はありますが、共有者全員による共同申請が必要です。共有者の所在や相続関係を先に整理しなければならない場合があります。

    Q4.申請すれば必ず承認されますか?

    必ず承認されるわけではありません。書面審査や実地調査が行われ、却下、不承認または取下げとなる場合があります。

    Q5.司法書士にすべて任せられますか?

    司法書士は申請書や添付書類の作成、相続登記、権利関係の整理などを行えます。ただし、国庫帰属の申請自体は、原則として所有者本人または法定代理人が行います。

    Q6.最初に何を準備すればよいですか?

    登記事項証明書、公図、地積測量図、現地写真、固定資産税の納税通知書などがあると、土地の状況を整理しやすくなります。

    相続した土地や相続登記についてのご相談は、当事務所の「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。

    出典

    公開日・最終更新日:2026年8月31日
    執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)

    【2026年版】相続した不動産、手続き放置でどうなる?~所有者不明土地問題と相続登記義務化~

    2026年1月22日
    • 相続手続き

    ■ 相続登記が義務化された背景

    相続した不動産の名義変更を放置すると、相続人が分からなくなり、土地・建物が有効活用されない「所有者不明土地」が増えてしまいます。
    国はこの問題を解決するため、2024年4月から相続登記(不動産の名義変更)を義務としました。

    • 期限は「相続したことを知った日から3年以内」。

    • 登記を怠ると、正当な理由がない限り、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

    こうした措置の背景には、今後も所有者不明土地が増え続け、既に九州の面積を超える規模になると予測されている社会問題があります。
    放置された土地は、地域の活用や防災面で大きな課題となります。

    ■ 相続手続きで気をつけたいポイント

    • 早めの名義変更を
        遺産分割協議がまとまらない場合でも、法定相続分で仮登記をしたり、「相続人申告登記」を利用するなど、期限内に登記対応をしておくことが大切です。

    • 家族内での情報共有
        実家や土地を相続したら、他の相続人と早めに話し合い、誰が管理するのか、売却・活用するのか方針を決めましょう。

    • 書類の準備はお早めに
        名義変更には戸籍謄本や固定資産評価証明書などが必要です。必要書類を早めに揃えておくことで、手続きがスムーズに進みます。

    所有者不明土地問題を解消するための制度である以上、手続きの遅れは社会的な負担につながります。
    親の財産を守り、次世代へスムーズに引き継ぐためにも、期限内の手続きを徹底しましょう。

    ■ 今から準備できること

      ◆ 親の不動産と名義を確認:登記簿謄本を取得し、所有者名や住所が現状と合っているか確認します。

      ◆ 相続人を把握する:兄弟姉妹や子ども同士で相続人の範囲を確認。遺産分割協議が必要なケースを整理しておきましょう。

      ◆ 専門家に相談する:司法書士や税理士に相談すれば、相続登記の流れや必要書類、節税対策(税理士との連携)などを教えてくれます。

    ■ まとめ

    相続登記の義務化は、「所有者不明土地」を減らし、不動産を次世代に活用できるようにするための重要な制度です。
    将来の相続手続きに備えて、今から家族で話し合いを始め、必要な準備を整えておきましょう。不安な点があれば、弊所へ気軽にご相談ください。

    実家を相続したら…空き家にしないためのポイント

    2026年1月19日
    • 相続手続き
    親御さんから引き継いだ大切な実家。特に湘南エリアでは、海や自然に恵まれた土地柄もあり、
    「思い出の詰まった家をどうするべきか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
    相続した家をそのまま空き家にしてしまうと、さまざまなリスクや負担が生じます。
    本記事では、湘南エリアでご実家を相続した一般の方向けに、空き家にしないための対策相続手続きのポイントを分かりやすく解説します。

    相続した実家が「空き家」になるケースとは?

    湘南エリアは人気の居住地域ですが、相続によって取得した家屋がそのまま空き家になってしまうケースがあります。たとえば:

    • 遠方に住んでいる場合:相続人が東京など離れた場所に住んでおり、実家に戻らないケース。

    • すでに自宅がある場合:自分の家を持っているため、相続した実家に住む予定がないケース。

    • 家族で話し合いがまとまらない場合:売却するか残すか、遺産分割協議で意見が分かれ放置されるケース。

    こうした理由で家が使われず空き家になると、建物や庭の管理が行き届かず、周囲に迷惑をかける恐れも出てきます。「うちは湘南だからすぐ売れるだろう」と安心せず、早めの対応が必要です。

    空き家を放置するとどうなる?深刻なリスク

    使われなくなった家を放置することには、様々なリスクがあります。湘南エリアの自治体でも空き家対策が進められており、空き家の所有者(相続人)は以下の点に注意が必要です。

    • 建物の老朽化:人が住まない家は傷みが早く、屋根や塀の崩壊など安全面で問題が生じます。台風や塩害の影響もあり、湘南地域では定期的な点検が不可欠です。

    • 特定空家の指定:管理不全の空き家は自治体から「特定空家」に指定される恐れがあります。特定空家になると行政から指導・勧告を受け、最終的には強制的な解体や費用負担につながることも…。

    • 近隣への影響:雑草や害虫の発生、不法侵入や放火のリスクなど、周囲の生活環境へ悪影響を与える可能性があります。湘南エリアの美しい景観を損なわないためにも、放置は避けたいところです。

    こうしたリスクを回避するには、「住まない家だけど思い出があるから…」と先延ばしにせず、相続後できるだけ早めに対策をとることが肝心です。

    相続した不動産、具体的にどうする?選べる3つの対処法

    実家を相続したものの使う予定がない場合、大きく分けて3つの選択肢があります。それぞれメリット・デメリットがありますので、家族で話し合いながら最適な方法を選びましょう。

    1. 自分たちで利活用する
    住み替え・二拠点居住:湘南の実家に移住したり、週末だけ過ごすセカンドハウスにする方法です。愛着ある家を残せますが、維持費やリフォーム費用がかかる点に注意。
    賃貸に出す:自分たちは住まなくても、賃貸物件として他人に貸す選択です。家賃収入が得られますが、入居者対応や経年劣化への修繕など、オーナーとしての責任が伴います。

    2. 売却する
    不動産業者に売却:思い切って家と土地を売ってしまう方法です。湘南エリアは人気が高く、条件が良ければ高値で売れる可能性もあります。売却すれば固定資産税など今後の負担から解放されます。
    早期売却で税優遇:親の居住していた家屋を相続し一定期間内に売却すると、譲渡所得の特別控除(最大3,000万円)等の税制優遇が受けられる場合があります。相続後3年以内の売却を一つの目安にしましょう。 ※税務詳細は税理士等にご確認ください。

    3. 手放す(相続しない)
    相続放棄:プラスの財産もマイナスの財産(借金など)も含め一切の相続を放棄する方法です。家庭裁判所へ申述し認められる必要があり、相続開始を知ってから3か月以内という期限があります。また、相続放棄すると他の財産も受け取れなくなるため慎重な判断が必要です。
    国庫帰属制度:2023年に始まった新しい制度で、「不要な土地を国に引き取ってもらう」手段です。一定の条件(建物や担保権なしなど)を満たせば、承認料を支払い国庫に帰属させることが可能です。ただし建物がある場合は更地にする必要があるなどハードルも高いため、まず専門家に相談しましょう。

    相続登記はお済みですか?法律上の義務と手続きポイント

    家をどう活用するかにかかわらず、まず確実に行うべきは「相続登記」です。相続登記とは、不動産の名義を亡くなった方から相続人へ正式に変更する手続きのことです。

    ★ 2024年から相続登記が義務化されました!
    これまで相続登記は義務ではなく放置されるケースもありましたが、法律改正により相続登記が義務化されました。具体的には、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料(罰金)が科される可能性がありますので注意しましょう。湘南エリアに限らず全国共通のルールです。

    ★ 遺産分割前でも仮の登記を
    相続人が複数いる場合、遺産分割協議が整うまで誰の名義にするか決まらないこともあります。そのようなときでも期限内に対応するため、法定相続分で一旦登記するか、相続人申告登記(相続人が未確定の場合の申告的な登記)をしておくことができます。後から正式に分割協議がまとまったら改めて名義変更すればOKです。とにかく期限内に何らかの登記対応をしておくことが大切です。

    ★ 登記を怠ると将来もっと大変に…
    登記せずに放置すると、年月が経つうちに相続人の誰かが亡くなってさらに次の相続が発生するなど、権利関係がどんどん複雑化してしまいます。いざ売却しようと思ったときに名義人が二世代前(三世代前…)という状態では、必要な書類集めも困難になります。そうなる前に、相続登記は早めに済ませておきましょう。

    湘南エリアの皆様へ:早めの相談・早めの対策を!

    相続したご実家を空き家にしないためには、早めの意思決定と行動が何より重要です。最後に、スムーズに相続手続きを進めるためのポイントをまとめます。

    • ✅ 専門家に相談:相続登記や手続きで不安があれば、司法書士に早めにご相談ください。

    • ✅ 家族で話し合い:実家をどうするか、ご家族でよく話し合いましょう。将来的な維持費思い出の整理も含め、納得いく形を見つけることが大切です。

    • ✅ 定期的な管理:活用方法を検討中でも、空き家の間は定期的に換気や清掃、庭木の剪定など最低限の管理を続けましょう。近隣への配慮も忘れずに。

    • ✅ 手続き期限の確認:相続放棄の期限(3か月)や相続登記の期限(3年)など、重要な期限をカレンダーに押さえて計画的に行動しましょう。

    湘南エリアならではの魅力あるご実家を、ぜひ有効に次世代へ繋げていきたいものですね。
    相続手続きをしっかり行い、空き家問題の不安を解消して、安心して相続財産を活かすことができるよう願っております。
    何かお困りの際は、お気軽に弊所までご相談ください。

    法定相続情報証明制度を活用しよう

    2026年1月14日
    • 相続手続き

    相続手続きは、戸籍の収集や書類作成など多くの負担が伴います。
    こうした負担を軽減できるのが「法定相続情報証明制度」です。
    今回は、この制度の概要や活用場面、手続きの流れ、司法書士に依頼するメリットについて分かりやすく解説します。


    法定相続情報証明制度とは?

    法定相続情報証明制度とは、相続関係を一覧にまとめた「法定相続情報一覧図」を法務局で証明してもらえる制度です。
    戸籍謄本一式の代わりに、相続人全員の関係を一覧で示す書類を提出できるようになります。

    ・申請は無料
    ・証明書は複数枚発行可能(再発行も可)
    ・一覧図には被相続人(亡くなった方)と相続人の関係が一目でわかるよう記載されます


    この制度が活躍する場面

    ✅ 不動産の相続登記(名義変更)
    → 2024年4月から義務化されました。

    ✅ 銀行・証券会社での相続手続き
    → 預金の払い戻しや口座の名義変更において、戸籍一式の代わりに提出できます。

    ✅ その他、保険金請求や年金手続きなどにも活用されています


    申請の流れ(かんたん3ステップ)

    1. 被相続人と相続人の戸籍・住民票などを収集

    2. 「法定相続情報一覧図」と申出書を作成

    3. 法務局に申請(不動産所在地に関係なく申請可)


    司法書士に依頼するメリット

    ・面倒な戸籍の収集や書類作成をすべて代行可能
    ・申請書の不備や差戻しを防げる
    ・不動産の名義変更や銀行解約までワンストップで依頼可能


    まとめ

    相続手続きを少しでもスムーズに進めたい方にとって、法定相続情報証明制度はとても便利な制度です。
    これから相続登記を予定している方や、金融機関での手続きを予定している方は、積極的にご活用ください。
    茅ヶ崎・寒川・藤沢エリアで相続に関するお困りごとがあれば、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。