後見人が亡くなった場合の手続きとは?相続や遺産承継への影響も解説

    2025年6月8日
    • 成年後見

    成年後見制度を利用している方の中には、「後見人が先に亡くなってしまったらどうなるのか」と不安を抱えるご家族も少なくありません。

    とくに、後見人を家族以外の専門職に依頼している場合、その後の手続きに戸惑うケースも多く見られます。

    本日は、後見人が亡くなった場合の流れと、被後見人が亡くなった後の相続・遺産承継手続きとの関係について、司法書士の視点からわかりやすく解説します。


    ◆ 後見人が亡くなったらどうなる?

    後見人が死亡した場合、その職務は終了します。

    しかし、被後見人が存命であれば、後任の後見人を選任する必要があります。

    後見人がいなくなった状態は「後見開始決定があるのに監督者が不在」の状態になるため、家庭裁判所に対して以下の手続きを行います。


    ✅ 家庭裁判所への申し立てが必要

    • 申立人:親族、福祉施設、専門職、地方自治体など

    • 必要書類:後見人死亡の証明書類、被後見人の診断書など

    • ポイント:緊急対応として「一時的な後見人」(暫定的後見人)が選任されることもあります。


    ◆ 被後見人がその後に亡くなった場合の注意点

    後見人が亡くなった後、被後見人もまもなく他界されるケースは実務上も多く見られます。

    このとき注意すべき点は以下のとおりです。


    ✅ 1. 通帳・不動産などの名義調査が滞る可能性

    前任の後見人が財産をきちんと整理していなかった場合、

    後任後見人の選任が遅れることで、通帳の取引履歴・証券の残高などの調査が難航する恐れがあります。


    ✅ 2. 「後見人だった人」は相続人ではないことに注意

    後見人だった人が遺産を相続できるのは、あくまで法定相続人である場合に限られます。

    たとえ長年関わっていたとしても、法的な相続権は発生しません。


    ✅ 3. 遺産承継業務と後見業務は別物

    「後見人をしていたから、相続手続きもそのままできる」と思われる方もいらっしゃいますが、

    実際には、相続の手続きには別途、相続人の協力や司法書士等の介入が必要です。


    ◆ 後見人が専門職(司法書士・弁護士)の場合のメリット

    弊所のような専門職が後見人を務めていた場合、以下の点でご家族にとって大きなメリットがあります。

    • ✅ 財産管理記録が明確に整理されている

    • ✅ 相続発生後もそのまま承継業務を依頼できる

    • ✅ 死後の事務や遺言執行など、包括的な対応が可能

    後見の段階から相続を見据えた準備をしておくことで、ご家族の精神的・経済的負担は大きく軽減できます。


    ◆ まとめ

    • 後見人が亡くなったら、家庭裁判所に後任選任の申し立てが必要

    • 被後見人が亡くなった場合、相続人が遺産承継の主役となる

    • 専門職後見人であれば、財産の引継ぎ・相続手続きまで一貫して任せることが可能


    ◆ ご相談は弊所まで

    木村光太朗司法書士事務所では、成年後見業務と遺産承継手続きを多く取り扱っております。

    「家族に後見人が必要かもしれない」「後見と相続、何から始めればいいか不安」

    といった場合も、まずはお気軽に弊所にご相談ください。

    家族がいない人が亡くなったら?「相続人不存在」と特別縁故者制度について

    2025年5月29日
    • 相続手続き

    「独身で子どもも兄弟もいないのですが、万が一のとき、自分の財産はどうなるのでしょうか?」

    近年、こうしたご相談が増えてきました。

    高齢化や生涯未婚率の上昇などにより、「家族がいない」「相続人が誰もいない」ケースが珍しくなくなってきています。

    今回は、相続人がいない場合の相続の流れと、関係が深い方が財産を受け取れる特別縁故者制度について解説します。


    相続人がいない場合の基本的な仕組み

    相続が発生すると、まずは民法に基づいて、配偶者・子・親・兄弟などの相続人を探します。

    しかし、次のようなケースでは、法定相続人が一人もいない状態が発生します。

    • 生涯独身で子どももいない
    • 両親や兄弟姉妹もすでに亡くなっている
    • 養子縁組もしていない
    • 相続人がすべて相続放棄した

    このような場合、「相続人不存在」という状態となり、特別な手続きが必要となります。


    相続人不存在となった場合の流れ

    1. 家庭裁判所に「相続財産清算人」を選任してもらう
       → 利害関係人や債権者、行政機関などが申立て可能です。
    2. 清算人が財産を調査・整理し、公告で相続人の有無を確認する
    3. 一定期間(通常6か月以上)経っても相続人が見つからなければ「相続人不存在」が確定
    4. 財産は原則として国庫に帰属

    ただし、それで終わりではありません。

    ここで登場するのが「特別縁故者制度」です。


    特別縁故者制度とは?

    相続人がいないにもかかわらず、亡くなった方に対して特別に親しい関係にあった人がいた場合、

    財産の一部または全部を受け取れる可能性があります。

    【具体例】

    • 生前に長年同居していた内縁の配偶者
    • 看病・介護をしていた親しい友人や知人
    • 営業停止後も家賃を払ってくれた店舗オーナー
    • 法的関係はないが事実上の家族だった人

    このような方は、「特別縁故者」として家庭裁判所に申し立てることで、遺産の分与を受けられる可能性があります。


    注意点と手続き

    • 相続人がいないことが前提(=遺言がない or 無効)
    • 相続財産清算人が財産を調査・整理後、裁判所に対して分与の申立てを行う必要あり
    • 申立て期限は、相続人捜索の公告期間満了から3か月以内
    • 財産の全額が認められるわけではなく、「関係の深さ」「貢献の度合い」が考慮される

    まとめ:家族がいなくても「遺す相手」を決める手段はある

    ✅ 相続人がいないと、原則として財産は国庫へ
    ✅ 特別縁故者がいた場合、財産を分与できる可能性あり
    ✅ ただし、手続きは煩雑で、裁判所の判断が必要

    このような事態を避けたい場合、遺言書を作成しておくことが最も確実な手段です。

    あらかじめ「この人に遺したい」と明記しておくことで、法的に有効な財産承継が可能となります。


    【司法書士からのひとこと】

    弊所では、遺言書の作成支援や、相続人がいないケースの財産承継対策にも対応しております。

    「家族がいない」「万が一に備えたい」という方は、ぜひ弊所にご相談ください。

     

    相続人が高齢の場合の手続きの注意点と対応法とは?

    2025年5月15日
    • 相続手続き

    相続人が90歳近いのですが、書類に署名押印してもらえますか?」

    「父が足腰が悪くて印鑑証明を取りに行けないのですが…」

    このように、相続人自身が高齢者であることによって、相続手続きがスムーズに進まないケースは少なくありません。

    今回は、高齢の相続人が関係する相続手続きの注意点と、実務上の対応方法について解説します。


    ✅ 相続人が高齢なことによって起きやすい課題

    相続手続きは、戸籍収集や遺産分割協議書への署名押印、印鑑証明書の提出など、形式的かつ厳密な書類作成が求められます。

    しかし、相続人が高齢の場合、次のようなハードルが生じやすくなります。

    ✅ 署名や押印がうまくできない(震えや視力低下など)
    ✅ 印鑑証明書を取得するために役所に行けない
    ✅ 本人確認書類(運転免許証など)を持っていない
    ✅ 認知症の進行により意思確認が困難
    ✅ 書類の内容を理解すること自体に時間がかかる

    このような状況では、形式的に手続きが進められたとしても、将来的なトラブルの火種となるリスクがあります。


    ✅ 認知症が疑われる場合は特に注意

    高齢相続人が遺産分割協議に参加する場合、本人に判断能力がない状態であれば、協議自体が無効になる可能性があります。

    ✅ 内容の理解が不十分なまま署名しても、法的には無効とされる恐れあり
    ✅ 他の相続人との間で後日紛争に発展することも
    ✅ 医師による診断結果や、家庭裁判所の判断を要するケースもある

    このような場合は、成年後見制度の申立てや、特別代理人の選任を検討する必要があります。


    ✅ 実務上の対応策:司法書士ができること

    司法書士が関与することで、次のようなサポートが可能です。

    ✅ ご自宅や施設への出張対応(本人の署名・押印確認)
    ✅ 署名の代筆・記名押印についての法的可否の判断
    ✅ 本人確認書類がない場合の補完的資料の提示方法の案内
    ✅ 遺産分割協議に関する意思確認文書の作成や状況記録
    ✅ 必要に応じた成年後見申立てサポート
    ✅ 家族への丁寧な説明とフォロー

    特に90代や100歳を超える相続人の場合は、記録の保存や丁寧な進行が極めて重要となります。


    ✅ まとめ:相続人が高齢な場合は「配慮」と「法的備え」の両立が必要

    ✅ 高齢の相続人がいると、手続きが形式的に進められないケースが多い
    ✅ 判断能力が不十分な場合、後に相続トラブルに発展する可能性も
    ✅ 出張対応や後見制度の活用など、柔軟な選択が求められる
    ✅ 専門家が入ることで、安心かつ確実な手続きをサポートできる

    弊所では、高齢の相続人が関与する相続手続きにも、出張対応や後見制度申立てを含め、柔軟かつ丁寧な支援を行っております。

    「印鑑が押せない」「手続きが難しい高齢の家族がいる」などのお悩みがありましたら、ぜひ弊所にご相談ください。

    相続手続き、どこまでやれば終わり?“見落としがちな遺産”と現実的な限界

    2025年5月12日
    • 相続手続き

    「不動産の登記は終わったし、銀行口座も解約できた。これで相続は完了…」

    実はその裏に、**“見落とされたまま失われていく遺産”**が存在する可能性があります。

    今回は、相続の現場でしばしば問題となる「気づかれていない財産」と、実務で直面する現実的な限界について解説します。


    ✅ 見落とされやすい「隠れた遺産」とは?

    紙の通帳や通知が届く時代から、完全オンライン型の資産が増えた今、家族が気づかない遺産は以下のようなものです。

    ✅ ネット銀行口座(楽天銀行・PayPay銀行など)
    ✅ ネット証券(SBI証券・楽天証券など)
    ✅ 電子マネー・プリペイド(PayPay・Suica・WAONなど)
    ✅ マイルやポイント(ANAマイル・Tポイントなど)
    ✅ NFTや仮想通貨(暗号資産取引所)
    ✅ スマートフォンアプリ内のチャージ残高や有料サービス

    被相続人がこれらを家族に伝えていないまま亡くなった場合、その存在すら気づかれず、結果的に失われてしまうリスクが高いのです。


    ✅ 実務上の大きな壁:「ログインできない」こと

    例えば相続人が「父のスマホにPayPayが入っていた気がする」と思っても…

    ● パスコード・指紋認証が解除できない
    ● ログインID・パスワードが分からない
    ● 再発行手続きが本人限定となっている
    ● 本人以外がアクセスすること自体が利用規約違反

    このように、相続人が知っていてもアクセスできないという壁にぶつかることは少なくありません。

    また、仮想通貨などは秘密鍵を紛失すれば完全に取り出す手段がなくなってしまう性質を持っています。


    ✅ 調査できる範囲にも限界がある

    司法書士としても、相続人からの依頼があれば調査の支援は可能ですが、以下のような限界があります。

    ✅ 金融機関や証券会社へ照会できるのは、特定の相続関係資料が揃ってから
    ✅ ネットサービスや電子マネーは、法人によっては相続受付自体がないケースもある
    ✅ 被相続人の郵便物やスマホ・PCを見ても、利用証拠がなければ資産の存在確認が難しい

    このため、デジタル財産に関しては「生前の備え」が不可欠となっています。


    ✅ では、どう備えるべきか?

    以下のような方法を組み合わせることで、相続時の混乱や損失を防ぐことができます。

    ✅ ログインIDやパスワードを記録した「デジタル資産リスト」を作成
    ✅ エンディングノートや遺言書と一緒に保管(可能なら信頼できる人と共有)
    ✅ パスワード管理アプリを活用し、マスターパスワードのみ伝える
    ✅ 財産目録を司法書士など専門家に相談しながら整理しておく

    特に、独身・おひとりさま・子どもがいない方などは、死後の情報共有が困難になるケースが多いため、早めの対応が重要です。


    ✅ まとめ:デジタル時代の相続は「見える資産」と「見えない資産」の両方を意識して

    ✅ 相続手続きは「不動産」と「銀行口座」だけでは終わらない
    ✅ 見落とされた資産は、放置や失効のリスクが高い
    ✅ ログイン情報や秘密鍵がなければ、手続き自体が不可能になることもある
    ✅ 生前の情報整理と、信頼できる人・専門家との共有が鍵になる

    弊所では、遺産承継業務のご相談に加え、デジタル資産を含めた財産整理のサポートも承っております。

    「家族に迷惑をかけたくない」「どこまで備えておけば安心なのか分からない」とお感じの方は、ぜひ弊所にご相談ください。

    相続手続き、どこまでやれば終わり?“見落としがちな遺産”に注意

    2025年5月8日
    • 相続手続き

     

    「相続登記も済んだし、銀行口座の解約も終わった。これでひと安心……」

    本当にそうでしょうか?

    実は、相続手続きの中で**“見落とされやすい遺産”**が数多く存在します。

    今回は、見落とされがちな財産の代表例と、それを防ぐためのポイントについて解説します。


    ✅ 見落としがちな遺産の代表例

    不動産や大手銀行の口座のような“目に見える財産”だけでなく、相続人が把握していない“隠れた財産”は意外に多いものです。

    代表的なものは以下のとおりです。

    ✅ ネット銀行(楽天銀行、PayPay銀行、住信SBIネット銀行など)
    ✅ ネット証券口座(楽天証券、SBI証券など)
    ✅ 電子マネー残高(Suica、WAON、PayPayなど)
    ✅ 未払給与・退職金・会社からの未受領金
    ✅ マイル・ポイント(ANAマイル、Tポイントなど)
    ✅ NFT・仮想通貨・アカウント資産(暗号資産等)

    これらは紙の通帳もなく、ご家族が存在自体を知らないまま相続時効を迎えることも珍しくありません。


    ✅ 手続きが遅れるとどうなる?

    こうした財産は、手続きに期限が定められている場合もあります。

    ● 未払給与や退職金 → 2~5年の時効で消滅することがある
    ● 電子マネー → 利用規約により相続不可または失効
    ● ネット銀行・証券 → 凍結されたまま放置され、後の相続でさらに複雑化
    ● 仮想通貨 → アクセス手段がなければ資産価値が失われるリスクも

    手続きをせずに放置してしまうと、相続人にとって「存在しなかった財産」として処理されてしまうおそれもあります。


    ✅ なぜ見落とされるのか?

    見落とされる理由は、大きく分けて3つあります。

    ① 通帳・証券・通知などが紙で届かない(完全にオンライン)
    ② 本人が家族に伝えていない(ログイン情報やメール通知を知らない)
    ③ 相続人が「銀行と不動産だけやれば終わり」と誤認している

    遺産分割協議を終えたあとに発覚してしまうと、再度全員の同意が必要になるなど、手間もトラブルも増加します。


    ✅ 専門家に任せることで漏れを防ぐ

    司法書士に遺産承継業務をご依頼いただくと、以下のような点で安心です。

    ✅ ヒアリングを通じて、相続財産全体を体系的に洗い出します
    ✅ 相続人様と連携し、郵便物や通帳、手元のデジタル情報をもとに資産の有無を確認します
    ✅ 各資産ごとの手続きに対応できる専門家と連携(税理士・社労士・弁護士)します
    ✅ 見落としやミスが少なく、遺産分割協議のやり直しを防げます

    ご家族だけでは対応が難しい場合でも、**「抜け・漏れのない安心な相続」**を目指すことができます。


    ✅ まとめ:本当の意味で“相続を終える”ために

    ✅ 見えにくい資産こそ、見落としやすくリスクが大きい
    ✅ 電子マネーやネット口座など、新しい財産にも注意が必要
    ✅ 時効・失効・複雑化の前に、早めの調査と対策を
    ✅ 司法書士への相談で「抜けのない遺産整理」が可能になる

    弊所では、不動産登記や金融資産の名義変更だけでなく、見落としがちな財産の洗い出しや遺産承継業務全般も承っております。

    「どこまで手続きすれば終わるのか分からない」と感じた時は、どうぞ弊所にご相談ください。