成年後見制度とは?判断能力が低下したときに備える安心の仕組み
「高齢の親が最近お金の管理に不安を感じるようになってきた」
「認知症が進行してきたが、このままでは財産管理や契約手続きができない」
こうした状況に備える制度として注目されているのが、成年後見制度です。
これは、判断能力が不十分になった方のために、財産管理や法律行為のサポートをする仕組みです。
今回は、成年後見制度の概要と利用の流れ、そして弊所がサポートできる内容について、司法書士の視点から解説します。
✅ 成年後見制度とは?
成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などによって判断能力が不十分な方の生活と財産を守るために、
家庭裁判所が後見人を選任する制度です。
本人が不利な契約を結んでしまったり、財産が第三者に搾取されるといったリスクを防ぐことができます。
✅ 成年後見制度の種類(法定後見と任意後見)
成年後見制度には、2つの種類があります。
● 法定後見制度
⇒ すでに判断能力が低下している方に対して、家庭裁判所が後見人等を選任する制度。
後見・保佐・補助の3類型があり、本人の判断能力の程度に応じて使い分けられます。
● 任意後見制度
⇒ 将来、判断能力が低下することに備えて、元気なうちにあらかじめ契約で後見人を決めておく制度です。
契約には公正証書が必要で、判断能力が低下したときに家庭裁判所の監督のもとで発効します。
✅ どんなときに必要になるの?
成年後見制度は、以下のような状況で利用されます。
✅ 高齢の親が認知症を発症し、預金の引き出しや不動産の売却ができない
✅ 本人名義の財産を守りたいが、家族では手続きできない
✅ 一人暮らしの高齢者が訪問販売で高額商品を購入してしまった
✅ 身寄りのない方の生活支援や施設入所の契約が必要になった
✅ 後見人ができること・できないこと
後見人の主な業務は以下の通りです。
● 財産管理(預金・不動産・年金の受領など)
● 各種契約の代理(施設入所・医療契約など)
● 本人の権利擁護(悪質商法の取消しなど)
ただし、本人の「身上監護」(介護そのもの)を直接行うことはありません。
また、後見人には法的な義務や責任も伴うため、選任には慎重な判断が求められます。
✅ 専門職後見人(司法書士など)が選ばれる理由
家庭裁判所が後見人を選任する際、家族や親族が適任でない場合や利害関係がある場合には、
**司法書士・弁護士・社会福祉士などの「専門職後見人」**が選ばれることがあります。
✅ 客観的で中立な立場で本人の利益を守る
✅ 法律や制度に精通しており、適切な財産管理が可能
✅ 介護事業者や医療機関、施設との連携もスムーズ
特に相続や不動産、契約関係のトラブルが予想される場合には、司法書士が選任されることが多く、信頼性の高い支援が期待されます。
✅ 成年後見制度を使う前に知っておきたいこと
✅ 一度後見制度を開始すると、本人の判断能力が回復しない限り、原則として終了できません
✅ 財産の使い道には家庭裁判所の監督があり、自由に動かせないこともあります
✅ 費用(報酬)や、専門職後見人の継続的な関与が必要になることもあります
だからこそ、利用前に制度のメリット・デメリットを十分に理解し、適切な制度設計を行うことが重要です。
✅ まとめ:成年後見制度は早めの準備が安心につながる
✅ 成年後見制度は、判断能力が不十分な方を守るための法的な仕組み
✅ 法定後見と任意後見があり、本人の状況に応じて使い分ける
✅ 家族だけでは対応が難しい場合、専門職後見人の選任が有効
✅ 制度の利用には家庭裁判所の関与があり、事前の準備が重要
✅ 専門家のアドバイスを受けながら、本人に合った支援を検討することが望ましい
弊所では、成年後見制度の申立てサポートはもちろん、ご家族からのご相談にも丁寧に対応しております。
判断能力に不安がある方の今後や、ご家族の財産管理でお困りの際は、ぜひ弊所にご相談ください。