登記名義人が亡くなってから長期間が経過した場合の相続登記
「祖父の名義のままの土地がある」
「相続登記を何十年も放置していたが、最近になって売却したくなった」
こうしたご相談は、司法書士のもとへ頻繁に寄せられます。
しかし、登記名義人が亡くなってから長期間が経過している場合、相続登記は格段に複雑になります。
今回は、長期間放置された不動産の相続登記における注意点と対処法について解説します。
✅ 相続登記を長年放置するとどうなるか?
相続登記は、被相続人が亡くなった時点で法的には可能となりますが、長年放置されるケースが少なくありません。
その結果、次のような問題が生じます。
● 相続人が増えすぎて、全員の同意を得るのが困難になる
● 被相続人の戸籍の収集に膨大な時間と手間がかかる
● 一部の相続人が行方不明または死亡しており、さらに相続関係が複雑化
● 登記されていないまま相続が繰り返され、“登記簿上の名義人”と“実際の所有者”が全く異なる状態になる
長期未登記のままだと、売却・担保設定・贈与などの処分が一切できないため、結果的に「使えない土地」となってしまいます。
✅ 具体的な実務上の負担とは?
登記名義人が亡くなってから数十年が経っていると、次のような作業が必要になります。
● 祖父や曾祖父など、過去の相続人の戸籍をすべてさかのぼって取得
● 代襲相続や数次相続が発生している場合、さらに複雑な調査が必要
● 相続人が20名以上に及ぶこともあり、連絡・同意の取得が困難
● 遺産分割協議書への全員の署名押印が必要となるため、時間も費用もかかる
相続人の1人が協議に非協力的だったり、意思表示ができない状態であった場合は、
家庭裁判所への申立て(特別代理人・不在者財産管理人等)が必要になることもあります。
✅ 相続登記の義務化により放置が許されなくなった
令和6年4月1日から、相続登記が義務化される制度が施行されました。
✅ 相続が発生したことを知ってから3年以内に登記申請が義務付けられます
✅ 正当な理由なく申請しなかった場合、10万円以下の過料が科されることがあります
✅ 過去の相続についても、今後相続人が登記義務を負うことになります
これまで「登記しなくても特に問題なかった」と思われていた方も、今後は放置できない時代へと変わっています。
✅ 長期放置の相続登記こそ専門家に相談を
このような相続登記の放置案件では、以下のような専門的支援が必要です。
● 相続関係説明図の作成
● 戸籍・除籍・改製原戸籍の正確な読み解き
● 相続人の調査・所在確認
● 遺産分割協議書の作成・全員の同意取り付け
● 登記申請に必要な一連の書類整備と手続き
司法書士に依頼することで、面倒な戸籍収集や調整を一括して任せることができ、登記までスムーズに進めることが可能です。
✅ まとめ:放置された相続登記は、早めの対処が鍵
✅ 登記名義人の死亡から年数が経過すると、手続きが複雑になる
✅ 相続人が増えることで、同意の取得や協議が困難になる
✅ 相続登記義務化により、放置が法的リスクを伴う時代へ
✅ 早めの調査と登記が、将来のトラブルや財産価値の低下を防ぐ
✅ 専門家のサポートにより、複雑なケースでも適切に対応可能
弊所では、長期間放置された不動産の相続登記についても、戸籍調査から登記申請まで丁寧に対応しております。
相続登記のご相談は、どうぞ安心して弊所にご相談ください。