登記されていない家屋はどう相続する?未登記建物の注意点と登記手続き
「実家の建物を相続したいけど、登記簿に載っていない」
「土地は登記されているのに、家屋が未登記だった」
このようなご相談は、相続の現場で意外と多く寄せられます。
不動産の中でも、**建物の登記がされていない「未登記家屋」**は、相続や売却の際に思わぬトラブルを招くことがあります。
今回は、未登記建物の相続における注意点と、必要な登記手続きについて解説します。
✅ 未登記建物とは?
「未登記建物」とは、建物の新築や増築をした際に、法務局へ登記申請をしていない建物のことをいいます。
● 建築確認や固定資産税はあるが、登記簿に建物が載っていない
● 祖父母や両親の時代に建てた古い家に多い
● 増築や離れなど一部のみ未登記になっているケースも
未登記であっても、建物が存在し使用されている以上、相続の対象となります。
✅ 未登記建物をそのままにするとどうなる?
未登記建物は、相続人が引き継ぐ際にさまざまな問題を引き起こします。
● 売却・賃貸などの取引ができない(所有権の証明が困難)
● 他の相続人と共有状態になり、将来的にトラブルが起きやすい
● 表題登記や保存登記をしていないと、相続登記ができない
● 金融機関の担保にもできず、不動産としての資産価値が下がる
また、法改正により不動産の所有権に関する登記が義務化される流れが進んでいるため、未登記建物を放置するリスクは今後さらに高まります。
✅ 相続のために必要な手続きとは?
未登記建物を相続するには、次のような登記手続きが必要です。
(1)建物表題登記(所有権保存の前提)
未登記建物を相続した場合、まずは**建物の存在を登記簿に登録する「表題登記」**を行います。
この際、相続による取得であることを前提に、最初から相続人名義で申請することが可能です。
● 土地家屋調査士が現地調査・測量を行い、申請
● 建築年月日・構造・用途・面積などを登記簿に登録
※土地家屋調査士への依頼が必要です。
(2)所有権保存登記(名義を相続人へ)
表題登記が完了した後、司法書士が相続人名義での所有権保存登記を申請します。
これにより、正式に登記簿上の所有者として登録され、不動産としての活用・処分が可能となります。
✅ 書類の準備と注意点
● 固定資産評価証明書(課税対象になっていれば役所で取得可)
● 建物の所在地・構造・使用状況の確認
● 相続関係を証明する戸籍謄本や遺産分割協議書
※未登記であるがゆえに、書類や事実確認が不足しやすいため、事前の調査と準備が重要です。
✅ 専門家に依頼するメリット
未登記建物の相続登記には、土地家屋調査士と司法書士の連携が不可欠です。
また、現地調査・書類の収集・法務局への申請など、個人で手続きを行うには非常に煩雑で手間がかかります。
● 表題登記は土地家屋調査士、保存登記・相続登記は司法書士が担当
● 相続人間の調整や遺産分割協議の支援も可能
● 不動産の評価・活用・将来の売却等を見据えた提案ができる
早めに相談しておくことで、後々のトラブルや余計な出費を避けることができます。
✅ まとめ:未登記建物こそ早めの登記と整理を
✅ 未登記建物は、相続登記の前に「表題登記」が必要
✅ 所有権保存登記によって、名義を正式に移すことができる
✅ 登記されていないと、不動産としての価値が制限される
✅ 手続きは専門性が高いため、土地家屋調査士・司法書士への依頼が安心
✅ 法改正により、放置はリスクとなる時代へ
弊所では、未登記建物の登記に関するご相談から、土地家屋調査士との連携・相続登記の一括対応まで承っております。
ご実家や相続された不動産に「未登記の建物があるかも…」とお心当たりのある方は、ぜひ弊所にご相談ください。