~相続で不動産を共有名義にした場合の注意点と対処法について~

2025.04.09

不動産を相続した際、複数の相続人が共有名義になるケースは決して少なくありません。

「とりあえず兄弟姉妹で1/2ずつにしておこう」といった判断がされがちですが、共有状態のまま放置すると、

将来的にトラブルの原因になる可能性があるため、注意が必要です。

今回は、相続で不動産を共有名義にした場合に知っておくべき法律上のポイントと、円満に解決するための対処法について、

司法書士の視点から解説します。


✅ 共有名義になるケースとは?

相続人が複数いる場合で、遺産分割協議において

  • 共有状態のまま名義変更することに合意した

  • 遺言書が「不動産を長男と次男で2分の1ずつ相続」と指定していた
    といったケースで、1つの不動産に複数の相続人の持分が設定される共有名義になります。

一見公平に思える共有名義ですが、実は様々な問題を含んでいます。


✅ 共有名義のままにしておくと起こり得る問題

● 不動産を売却したいとき、共有者全員の同意が必要になる
● 1人が行方不明・認知症になると、手続きがストップする
● さらに相続が発生すると、共有者が増えて話がまとまりにくくなる
● 課税通知・修繕・利用方法など、現実的な管理が困難になる
● 他の共有者に自分の持分を売却されるリスクもある

相続開始当初は仲が良くても、次第に関係が薄くなることで合意が取りづらくなっていくのが現実です。


✅ 共有不動産に関する法改正のポイント(令和5年4月施行)

近年の民法・不動産登記法の改正により、共有制度にも新たなルールが加わりました。

● 長年使われていない共有地の活用促進
● 区分所有的な共有不動産の分割請求のルール整理
所在不明共有者がいる場合の手続き簡素化
● 相続登記の義務化と合わせて、共有関係を放置しない方向へ法整備

これにより、共有不動産の適切な管理や解消がより強く求められるようになっています。


✅ 共有名義を解消する主な方法

共有状態を解消するには、以下のような手段があります。

● 持分譲渡(他の共有者に自分の持分を売る・贈与する)
● 代償分割(1人が不動産を取得し、他の相続人に金銭で補償)
● 共有物分割請求(裁判で共有状態を解消、現物分割や換価分割など)

※これらはいずれも、登記手続きが必要となります。

特に、売却・贈与などを考えている場合は、早めに共有者間で意思確認をしておくことが重要です。


✅ 司法書士に相談するメリット

共有名義のまま放置すると、年数が経つほど手続きが煩雑になり、解決に時間も費用もかかるようになります。

司法書士に相談することで、

● 登記簿の確認・名義人の調査
● 相続人関係の整理と必要書類の収集
● 持分移転登記・共有解消に向けたアドバイス
● 将来的なリスクに備えた選択肢の提示

といった専門的なサポートを受けながら、安心して手続きを進めることが可能です。


✅ まとめ:共有名義は早めの対処が鍵

✅ 不動産を複数人で相続すると、共有名義となることがある
✅ 共有状態のままでは、不動産の管理・処分に支障が生じやすい
✅ 法改正により、共有関係の解消や整備が重要になっている
✅ 共有名義は早期に整理し、合意形成を図ることが望ましい
✅ 司法書士に相談することで、リスクを最小限に抑えた手続きが可能

不動産の共有名義は、相続人間の関係が良好なうちに対処することが最も大切です。

弊所では、共有不動産の整理や持分移転、登記申請のサポートを承っております。

相続で共有名義となった不動産のことでお悩みの際は、ぜひ弊所にご相談ください。