亡くなった人の預金はいつ引き出せる?相続人が注意すべき手続きとルール
相続が発生すると、「故人の銀行口座からお金をすぐに引き出せるのか?」という疑問を持つ方が多くいらっしゃいます。
生活費や葬儀費用の支払いに急ぎで現金が必要なケースもある一方で、預金の扱いには法律上のルールと注意点が存在します。
今回は、被相続人の預金を引き出す際の基本ルールや、トラブルを避けるためのポイントについて解説します。
1. 口座はいつ凍結されるのか?
銀行口座は、銀行が死亡の事実を把握した時点で凍結されます。
これは、相続人以外の第三者による不正な引き出しを防ぐための措置です。
✅ 具体的な凍結のタイミング
- 金融機関に死亡届や除籍謄本が提出されたとき
- 場合によっては、新聞のお悔やみ欄や官報などで知った場合でも凍結されることがあります
凍結後は、ATMもネットバンキングも使えなくなるため、早めに手続きの準備を始めることが大切です。
2. 相続人が無断で引き出すのはNG!
相続人の中には、故人のキャッシュカードや通帳を使って、凍結前に預金を引き出す方もいます。
✅ これは“法的に問題”となる行為です
- 遺産分割協議が成立していない段階では、**預金は“相続人全員の共有財産”**です
- 一部の相続人が無断で引き出すことは、「遺産の使い込み」と見なされ、後のトラブルの原因になります
たとえ家族であっても、故人の口座からの引き出しは慎重に扱う必要があります。
3. 遺産分割前でも一部引き出せる制度がある
平成30年の民法改正により、相続人が一定額の預金を家庭裁判所の手続きを経ることなく引き出せる制度が創設されました。
✅「預貯金の仮払い制度」とは?
- 相続人が単独で、1つの金融機関ごとに150万円まで引き出すことが可能
- 引き出したお金は、遺産分割の対象に含まれる
- 引き出しの際には、相続人であることを証明する戸籍や、相続関係を示す書類が必要
〇 この制度は、葬儀費用や緊急の支払いが必要なときに有効です
4. 預金を引き出すための基本手続き
遺産分割協議が成立した後、正式な預金の解約・引き出しを行うためには、以下の書類が必要です。
✅ 基本的に必要な書類
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 各金融機関の所定の申請書類
※金融機関によっては、手続きに細かい違いがありますので、事前の確認が重要です。
5. 預金口座を放置するとどうなるか?
口座を放置してしまうと、残高が一定額以下になると管理手数料が発生したり、
長期間放置された預金は「休眠預金」として扱われる可能性があります。
また、相続人の中に高齢者や未成年者、行方不明者がいる場合は、さらに手続きが煩雑になることもあります。
早めに動き出すことが、トラブルを避ける第一歩です。
6. 専門家に依頼するメリット
預金の相続手続きは、戸籍の収集・関係書類の整備・金融機関ごとの対応など、煩雑で手間がかかります。
司法書士に依頼することで、相続人の代理として手続きを一括で進めることが可能になります。
特に、相続登記と並行して手続きを進めると効率的で、トータルの負担が大きく軽減されます。
まとめ:預金の相続には冷静かつ正確な対応を
✅ 預金は死亡の事実を金融機関が知った時点で凍結される
✅ 凍結前後に無断で引き出すのは法的リスクがある
✅ 仮払い制度を活用すれば、遺産分割前に一定額の引き出しが可能
✅ 正式な引き出しには、相続人全員の同意と書類整備が必要
✅ 専門家に依頼することで、迅速かつ確実に手続きを進められる
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ご相続が発生した際、ぜひ弊所にご相談ください。