相続人が行方不明のとき、相続手続きはどうするのですか?

相続が発生したとき、相続人の中に連絡が取れない人や行方不明の人がいると、遺産分割協議が進まず、手続きが滞ることがあります。

「兄弟のうち一人が長年音信不通で、相続が進められない…」

相続登記が義務化されたので手続きしたいが、相続人の一人がどこにいるかわからない…」

このようなケースでは、どのように対応すればよいのか?

今回は、相続人が行方不明のときの対処法について解説します。


1. 相続人のうち、行方不明の方がいますか?

相続手続きを進めるには、相続人全員の同意が必要になります。

特に、遺産分割協議をする場合、相続人の一人が欠けていたら協議が成立しません。

そのため、行方不明の相続人がいる場合、次のような問題が発生します。

  • 遺産分割協議が進まない(相続人全員の同意が必要)
  • 不動産の相続登記ができない(すべての権利の変更ができるず、売却や活用が困難になる)
  • 預貯金の解約等ができない金融機関が手続きを認めない)

このような場合、相続人がいないままでは解決できないため、法的な検討が必要となります。


2. 相続人が行方不明のときの対処法

①まずは所在を調査

相続人が行方不明でも、完全に消息が分からないわけではない場合もあります。

  • 戸籍の附票を取得して、最新の住所を確認する
  • 住民票の移動履歴を追跡する
  • 親族や友人に聞いてみる

住民票や戸籍の添付票から、相続人の転居先が判明する場合もありますので、まずは調査を行いましょう。


② 不在者財産管理人の選任

調査しても行方不明で、どうしても連絡が取れない場合には、「不在者財産管理人」を家庭裁判所に申し立てることができます。

【選任後の流れ】

  1. 財産管理人が行方不明の相続人の財産を管理する
  2. 遺産分割協議を進めることが可能になる

この手続きを行うことで、相続手続きを進めることができます。


③失踪宣告の申し立て(7年以上行方不明の場合)

相続が7年以上の生死不明の場合は「失踪宣告告」を家庭裁判所に申し立てることができます。

【失踪宣告のポイント】

  • 失踪宣告が認められると、行方不明の相続人は「死亡したもの」とみなされる
  • その相続人の法定相続人が、代わりに遺産分割協議に参加できる

ただし、失踪宣告には時間がかかるため、緊急の相続手続きには不在者財産管理人のほうが適している場合もあります。


3. まとめ

相続人が行方不明なら、遺産分割協議相続や登記が進まない
まずは戸籍の附票や住民票を確認し、所在を調査する
連絡が取れない場合は「不在者財産管理人の選任」を申請手続き
7年以上行方不明なら「失踪宣告」の申請立ても可能

こういうことが起きないよう、お元気なうちに遺言書を準備しておきましょう。