後見人が本人より先に亡くなった場合、手続きはどうする?

2025.04.19

成年後見制度を利用しているご家庭で意外と多いのが、後見人となっていた家族が本人より先に亡くなるケースです。

特に、高齢の親のために子どもが後見人になっていた場合、後見人自身も高齢で体調を崩したり、亡くなってしまうことは珍しくありません。

今回は、後見人が本人より先に亡くなった場合に必要な対応や、家庭裁判所の手続きについて解説します。


✅ 後見人が亡くなると、後見業務は一時停止する

成年後見制度は、原則として後見人が選任されて初めて機能する制度です。

そのため、後見人が死亡した時点で、後見業務は一時的にストップします。

● 預貯金の管理や契約行為ができなくなる
● 病院や施設との契約更新、支払いにも影響が出ることがある
● 家族であっても、後見人の地位を自動で引き継ぐことはできない

こうしたトラブルを防ぐために、**できるだけ早く家庭裁判所へ「後任後見人の選任申立て」**を行う必要があります。


✅ 家庭裁判所への後任後見人の申立て

後見人が死亡した場合、次のような流れで手続きが行われます。

● 後見人の死亡を家庭裁判所に報告
● 新たな後見人選任の申立てを行う(親族または専門職が候補)
● 裁判所が本人の状況を確認し、新しい後見人を審理・選任
● 審判が確定すると、新後見人が財産を引き継ぐ

※新たな後見人が選任されるまで、生活費の支払いなどに困る場合は、仮の措置が取られることもあります。


✅ 新しい後見人には専門職が選ばれることが多い

後見人が死亡した後は、後任候補者がいない、または親族間の調整が難しい場合、

司法書士などの「専門職後見人」が選ばれるケースが増えています。

✅ 財産管理や法律手続きに精通しており、継続的に適切な支援が可能
✅ 家庭裁判所や施設との連携がスムーズ
✅ 中立な立場で、親族間の利害に巻き込まれにくい

ご家族が高齢だったり、体調に不安がある場合は、あらかじめ専門職後見人との連携体制を整えておくと安心です。


✅ よくある誤解:「後見人が亡くなったら後見も終わる?」

後見制度は、本人が存命で判断能力が不十分である限り、制度そのものは続きます。

そのため、後見人が亡くなっても、「後見が終了する」わけではありません。

● 必ず新たな後見人を選任する必要がある
● 選任されるまで、本人の生活や財産が不安定になる可能性がある
● 事前に家族間で、後任候補や対応方針を話し合っておくことが望ましい


✅ まとめ:後見人が先に亡くなっても、制度の継続と早期対応が重要

✅ 後見人が死亡すると後見業務は一時停止する
✅ 家庭裁判所へ早急に後任後見人の選任申立てを行う必要がある
✅ 専門職後見人が選任されることで、制度の継続性が確保されやすい
✅ 後見制度は「本人の死亡まで」続く制度であり、途中で途切れさせてはいけない
✅ 事前に後任候補を検討し、家族と話し合っておくことが安心につながる

弊所では、後任後見人の申立てを含めた成年後見制度全般のサポートを行っております。

ご家族が後見人となっている方で、将来的な不安をお持ちの方は、ぜひ弊所にご相談ください。