相続人が認知症だった場合の相続手続きの注意点

2025.03.18

1. 相続人が認知症の場合、遺産分割協議はどうなる?

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。
しかし、認知症の相続人がいる場合、意思能力がないと判断されると、法的に有効な合意を得ることができません。

【重要なポイント】

軽度の認知症なら協議に参加できる可能性もある
意思能力がないと判断される場合、成年後見制度の利用が必要
認知症の方が相続する財産は後見人が管理することになる

相続人全員の合意が得られないと、相続手続きが進まなくなるため、認知症の方がいる場合は、早めの対策が重要です。


2. 成年後見制度を利用するケースとは?

成年後見制度とは?
認知症などで意思能力が低下した方の代わりに、家庭裁判所が選任した後見人が財産を管理し、法律行為を行う制度です。

【成年後見が必要になるケース】
認知症の相続人が遺産分割協議に参加できない場合
認知症の方が相続する財産を適切に管理する必要がある場合
相続登記や不動産の売却を進めるために代理人が必要な場合

成年後見制度を利用すると、後見人が認知症の相続人に代わって遺産分割協議を行うことができます。
ただし、家庭裁判所の監督下に置かれるため、自由に財産を処分することはできません。


3. 成年後見制度の手続きと流れ

1️⃣ 家庭裁判所に後見開始の申し立て(相続人や親族が申請可能)
2️⃣ 家庭裁判所が審理を行い、成年後見人を選任
3️⃣ 成年後見人が相続人の代理人として遺産分割協議に参加
4️⃣ 家庭裁判所の許可を得て、不動産の売却や相続登記を進める

成年後見制度を利用するには、申し立てから選任まで数か月かかることがあるため、早めに手続きを進めることが大切です。


4. 認知症の親がいる場合、早めに準備すべきこと

認知症になる前に対策しておくことで、スムーズな相続手続きが可能になります。

「任意後見契約」を締結する
 → 事前に信頼できる人(家族や専門家)を後見人として指定できる制度

「家族信託」を活用する
 → 財産の管理・承継を事前に決めておくことで、スムーズな相続を実現

「遺言書」を作成する
 → 本人が意思能力のあるうちに、財産の分配を明確に決めておく


5. まとめ

相続人が認知症の場合、遺産分割協議が難しくなる
意思能力がないと判断される場合、成年後見制度の活用が必要
成年後見制度の申し立てには数か月かかるため、早めの対応が重要
認知症になる前に「任意後見契約」「家族信託」「遺言書」を準備しておくことが有効

認知症の方がいる場合の相続は、通常よりも手続きが複雑になります。
相続手続きや後見人でお困りの方は、ぜひ弊所にご相談ください。