家族信託シリーズ第3回:障害のある子どものための家族信託

〖現在の状況〗

◆ 家族構成:父、母、長男、二男(障害あり)

〖ご家族の悩み〗

すでに二男の判断能力が低下した状態で、父が遺言書を遺さずに死亡した場合、遺された相続人たちはどうなるのか?

何の対策もしなかった場合、方法は以下の2つに限られる。

① 二男に成年後見人を付けて、選任された成年後見人が二男の代わりに遺産分割協議に参加する。
※ 但し、法定後見制度の利用となり、二男が死亡するまで毎月3~6万円の後見人報酬が発生する。

② 法定相続分で遺産分割をする。
※ 法定後見の場合、二男の法定相続分を確保しなければなりません。。

〖解決策〗

上記の①②にならないように「受益者連続型信託」の応用パターンを活用する。

〖設計プラン方針〗

経済的負担や柔軟性が乏しい成年後見制度の利用を回避しつつ、障害がある二男の生活を確保する。

〖プラン内容〗

・ 委託者 / 財産を託す人:父
・ 受益者 / 利益を受ける人:父
・ 受託者 / 財産を託される人:長男

父に相続が発生した後、ここで信託を終了させずに(通常は委託者兼受益者が死亡すれば信託終了)、「①父の持つ受益権、②委託者としての地位」を二男に相続させる。

結果、障害があり、すでに意思能力を失っている二男が、父が組成した「家族信託の流れに後から乗ることができる」というもの。

二男は信託メリットを享受することができ、長男は引き続き「二男のために」財産管理をする。

※ 通常、すでに意思能力を失っている二男が信託契約の当事者にはなれないが、組成した契約当事者の「父の受益権」と「委託者としての地位」を相続させられれば、二男も委託者兼受託者になれる。