相続人が高齢の場合の手続きの注意点と対応法とは?
相続人が90歳近いのですが、書類に署名押印してもらえますか?」
「父が足腰が悪くて印鑑証明を取りに行けないのですが…」
このように、相続人自身が高齢者であることによって、相続手続きがスムーズに進まないケースは少なくありません。
今回は、高齢の相続人が関係する相続手続きの注意点と、実務上の対応方法について解説します。
✅ 相続人が高齢なことによって起きやすい課題
相続手続きは、戸籍収集や遺産分割協議書への署名押印、印鑑証明書の提出など、形式的かつ厳密な書類作成が求められます。
しかし、相続人が高齢の場合、次のようなハードルが生じやすくなります。
✅ 署名や押印がうまくできない(震えや視力低下など)
✅ 印鑑証明書を取得するために役所に行けない
✅ 本人確認書類(運転免許証など)を持っていない
✅ 認知症の進行により意思確認が困難
✅ 書類の内容を理解すること自体に時間がかかる
このような状況では、形式的に手続きが進められたとしても、将来的なトラブルの火種となるリスクがあります。
✅ 認知症が疑われる場合は特に注意
高齢相続人が遺産分割協議に参加する場合、本人に判断能力がない状態であれば、協議自体が無効になる可能性があります。
✅ 内容の理解が不十分なまま署名しても、法的には無効とされる恐れあり
✅ 他の相続人との間で後日紛争に発展することも
✅ 医師による診断結果や、家庭裁判所の判断を要するケースもある
このような場合は、成年後見制度の申立てや、特別代理人の選任を検討する必要があります。
✅ 実務上の対応策:司法書士ができること
司法書士が関与することで、次のようなサポートが可能です。
✅ ご自宅や施設への出張対応(本人の署名・押印確認)
✅ 署名の代筆・記名押印についての法的可否の判断
✅ 本人確認書類がない場合の補完的資料の提示方法の案内
✅ 遺産分割協議に関する意思確認文書の作成や状況記録
✅ 必要に応じた成年後見申立てサポート
✅ 家族への丁寧な説明とフォロー
特に90代や100歳を超える相続人の場合は、記録の保存や丁寧な進行が極めて重要となります。
✅ まとめ:相続人が高齢な場合は「配慮」と「法的備え」の両立が必要
✅ 高齢の相続人がいると、手続きが形式的に進められないケースが多い
✅ 判断能力が不十分な場合、後に相続トラブルに発展する可能性も
✅ 出張対応や後見制度の活用など、柔軟な選択が求められる
✅ 専門家が入ることで、安心かつ確実な手続きをサポートできる
弊所では、高齢の相続人が関与する相続手続きにも、出張対応や後見制度申立てを含め、柔軟かつ丁寧な支援を行っております。
「印鑑が押せない」「手続きが難しい高齢の家族がいる」などのお悩みがありましたら、ぜひ弊所にご相談ください。