- 成年後見
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後見開始時に、家庭裁判所から「後見制度支援信託を利用するように」と指示が出される
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後見人が信託銀行と契約し、本人名義の信託口座を開設
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毎月の生活費など、必要最低限の金額だけ後見人が管理できるようにする
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まとまった金額を引き出す場合は、家庭裁判所の指示が必要
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成年後見制度の限界と注意点とは?家族信託との違いも整理
「成年後見制度って安心できる制度だけど、なんとなく使いづらそう…」
「家族信託って聞いたことはあるけど、後見と何が違うの?」
成年後見制度は、判断能力が低下した方の財産や生活を守るための法律に基づいた制度です。
一方で、制度を利用するうえでの限界や注意点もあります。
今回は、成年後見制度の実務上の制約と、家族信託との違いをわかりやすく整理します。
✅ 成年後見制度のメリットと基本的な仕組み
成年後見制度の最大のメリットは、法律に基づいた「本人保護」が目的であることです。
✅ 悪質な取引から本人を守る
✅ 財産を適正に管理する仕組みが整っている
✅ 家庭裁判所の監督下で安心
✅ 本人の判断能力が衰えても、法律行為を代行できる
特に認知症や知的障害、精神障害のある方にとって、日常生活を維持するうえで非常に有効な制度です。
✅ それでも「成年後見制度には限界がある」と言われる理由
一方で、実際に制度を利用する中で、以下のような「使いにくさ」を感じる場面もあります。
● 財産の使い道に自由がきかない
→ 大きな支出(住宅の修繕、学費、資産運用など)は家庭裁判所の許可が必要
● 原則として一度始めたら終了できない
→ 本人が亡くなるまで後見制度が続くため、状況が変わっても柔軟な対応ができない
● 手続き・報告が多く、家族に負担がかかる
→ 年1回の財産報告、支出に対する証明、家庭裁判所とのやりとりが必要
● 将来の「相続」や「資産承継」には対応できない
→ 後見制度は「本人のため」だけの制度。相続や贈与には使えない
✅ 家族信託との違いとは?
そこで近年注目されているのが、**家族信託(民事信託)**です。
家族信託は、本人が元気なうちに契約を結び、将来の財産管理・承継を信頼できる家族などに託す制度です。
成年後見との主な違いは以下のとおりです。
✅ 判断能力があるうちに契約する
✅ 財産の使い方や承継方法を契約で自由に設計できる
✅ 家庭裁判所の監督が不要
✅ 死後の資産承継(2次相続など)までカバーできる
つまり、自由度が高く、将来の相続も見据えた設計が可能という点で、後見制度より柔軟に使える場合があります。
✅ どちらを使えばいいの?併用はできるの?
成年後見と家族信託は、目的や本人の状態によって使い分ける必要があります。
● すでに判断能力が低下している → 成年後見制度
● 今は元気だけど、将来に備えたい → 家族信託や任意後見契約
● 財産の柔軟な活用や承継も考えたい → 家族信託+遺言書の組み合わせ
● 判断能力が衰えてからも生活支援をカバーしたい → 任意後見との併用
状況によっては、家族信託+任意後見契約+死後事務委任契約という形で、
生前・判断力低下後・死後までを一体的に設計することも可能です。
✅ まとめ:後見制度と家族信託、それぞれの特性を理解して最適な備えを
✅ 成年後見制度は法律に基づいた安心の制度だが、柔軟性に限界がある
✅ 財産活用や資産承継には家族信託の方が適している場合がある
✅ 両制度の併用で「生活支援」と「財産設計」の両面をカバーできる
✅ 状況に応じて最適な制度を組み合わせることが重要
後見制度支援信託とは?親の財産を安全に管理する仕組み
「親が認知症で後見制度を利用しているけれど、財産の管理が心配…」
「後見人が財産を勝手に使ってしまうようなトラブルは避けたい」
そんな不安を解消する仕組みが、後見制度支援信託です。
今回は、後見制度支援信託のしくみと、利用するメリット、後見人の選び方との関係について解説します。
✅ 後見制度支援信託とは?
後見制度支援信託とは、成年後見制度を利用している場合に、本人の財産を信託銀行などに預けて管理する仕組みです。
後見人が必要な額だけを使えるようにし、それ以外の財産は信託銀行がしっかり管理します。
ポイントは、
✅ 後見人が自由に全額を動かせない仕組みになっている
✅ 必要な支払い(施設費用・医療費など)は家庭裁判所の指示で引き出せる
✅ 財産を安全に守りつつ、必要な支出はきちんとできる
つまり、本人のための財産を「使いすぎ」や「不正利用」から守るしくみです。
✅ なぜ後見制度支援信託が必要なの?
後見人が親族の場合、「安心だけど、管理の知識や経験が不安」というケースも少なくありません。
また、親族間のトラブル防止のためにも、後見人が勝手に大きな金額を使えないしくみがあると安心です。
特にこんな時に有効です。
✅ まとまった預貯金がある
✅ 後見人が親族で、財産管理に不安がある
✅ 本人のために確実にお金を残したい
✅ 相続発生時まで財産を安全に管理したい
✅ 具体的な仕組みと流れ
このように、家庭裁判所と信託銀行の二重のチェックで、本人の財産を守る体制が作られています。
✅ 親族後見人と専門職後見人との使い分け
後見制度支援信託は、主に「親族後見人」のケースで利用されることが多い仕組みです。
しかし、本人の財産が多額だったり、不動産の管理が必要な場合は、
✅ 親族後見+支援信託
✅ 専門職後見(司法書士など)
このどちらがよいかを慎重に検討することが大切です。
支援信託はあくまで預貯金の管理が中心のしくみです。
不動産の管理や、施設契約など多岐にわたる場合は、専門職後見人の関与が安心できるケースもあります。
✅ まとめ:後見制度支援信託で、安心の財産管理を
✅ 成年後見制度を利用中でも、財産の安全管理が必要
✅ 後見制度支援信託で、財産の使いすぎ・不正利用を防ぐ
✅ 親族後見人の場合でも、安心して財産管理ができるしくみ
✅ 専門職後見との併用や切り替えも選択肢の一つ
✅ どの方法が本人にとって最適か、専門家と一緒に考えることが大切
弊所では、成年後見制度の利用にあたり、支援信託の活用を含めた最適な制度設計をご提案しています。
「親の財産を安心して管理したい」「親族後見人で大丈夫か不安」といった場合は、ぜひ弊所にご相談ください。
任意後見制度とは?元気なうちにできる老後の備え
「将来、もし自分の判断能力が衰えたら…」
「認知症になったとき、誰に財産の管理を任せれば安心だろう?」
そう考えたことがある方に知っていただきたいのが、任意後見制度です。
今回は、任意後見制度の仕組みと、公正証書による契約の重要性、さらに遺言書や死後事務委任契約とセットで備える方法について解説します。
✅ 任意後見制度とは?
任意後見制度は、本人が元気なうちに、自分で将来の後見人を決めて契約しておく仕組みです。
判断能力がしっかりしている間に公正証書で「任意後見契約」を結び、
いざ判断能力が衰えたときに家庭裁判所の選任する監督人のもとで契約が発効します。
✅ 法定後見制度との違いは?
任意後見制度と法定後見制度には、次のような違いがあります。
まず、**任意後見制度は「本人の判断能力があるうちに契約する制度」**です。
元気なうちに、自分の意思で将来の後見人を決めておき、判断能力が低下したときにその契約が発効します。
その際、家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、後見人の業務をチェックします。
一方、法定後見制度は「すでに判断能力が不十分になってから」家庭裁判所が後見人を選任する制度です。
本人自身が後見人を選ぶことはできず、家庭裁判所が家族や専門職の中から適任者を選びます。
このように、
✅ 判断能力があるうちに「誰に・どこまで任せるか」を自分で決めたい場合は任意後見、
✅ すでに判断能力が衰えてしまった場合は法定後見、
という違いがあります。
✅ 遺言書・死後事務委任契約もセットで備えるのが安心
任意後見契約を結ぶ方の多くは、次のような希望をお持ちです。
✅ 判断能力があるうちに、将来の財産管理者を決めておきたい
✅ 亡くなった後のこと(葬儀・納骨・役所手続き)まで安心して任せたい
✅ 相続についても考えておきたい
そこでおすすめしたいのが、
「任意後見契約+遺言書+死後事務委任契約」のセットで準備することです。
● 任意後見契約 … 生前の財産管理・生活支援
● 遺言書 … 亡くなった後の財産の分け方を決める
● 死後事務委任契約 … 葬儀・納骨・行政手続きなど死後の事務を依頼する
これらをまとめて準備しておくことで、生前から死後までトータルで安心できる仕組みを作ることができます。
✅ 任意後見制度を司法書士に依頼するメリット
任意後見契約は、ただ契約を交わすだけではなく、
内容の設計・実際の発効時の対応までしっかり考えておくことが重要です。
✅ 適切な契約内容を設計(柔軟性のある管理項目、緊急時対応など)
✅ 公正証書の作成サポート(スムーズに手続き可能)
✅ 発効後の実務経験が豊富なため、現実的な運用ができる
✅ 死後事務委任契約や遺言書作成まで一括対応できる
司法書士ならではの知識と経験で、無理なく実現可能な内容を一緒に考えることができます。
✅ まとめ:元気な今だからこそ、任意後見と将来の備えを考える
✅ 任意後見制度は、将来の不安を減らすために「今」できる備え
✅ 法定後見と違い、自分で後見人を選び、契約内容を決められる
✅ 遺言書・死後事務委任契約とセットで準備することで、より安心
✅ 司法書士に依頼することで、実務まで見据えたサポートが受けられる
弊所では、任意後見契約、公正証書作成のサポートはもちろん、遺言書や死後事務委任契約までセットで対応しております。
将来への備えを検討されている方は、ぜひ弊所にご相談ください。
成年後見制度が必要になるタイミングとは? 〜備えるべき「そのとき」とは〜
「最近、親が通帳をなくすことが増えた」
「高額な買い物をしてしまい、業者とのトラブルになっている」
そんな時、「まだ大丈夫」と思いながらも、成年後見制度を検討すべきタイミングが訪れているかもしれません。
今回は、成年後見制度を使うべきタイミングと、司法書士を後見人に選ぶメリットについて解説します。
✅ 成年後見制度とは?
成年後見制度とは、判断能力が不十分な高齢者や障害のある方の財産や契約行為を法的に支援する制度です。
家庭裁判所に申立てを行い、「後見人」が選任されることで、本人に代わって財産管理や契約手続きを行えるようになります。
✅ どのような時に成年後見制度が必要になるのか?
以下のような場面は、制度の利用を検討すべき代表的なタイミングです。
✅ 認知症が進み、通帳・印鑑の管理ができなくなっている
✅ 不動産売却や施設入所の契約をしたいが、本人が内容を理解できない
✅ 詐欺や悪質商法による被害に遭ったことがある
✅ 家族が勝手に財産を使ってしまうリスクがある
✅ 銀行や役所の手続きで「本人確認が必要」と言われて困っている
このような場合、本人の意思を尊重しながら、生活を支える法的な枠組みとして成年後見制度が機能します。
✅ 後見人を司法書士に依頼するメリットとは?
後見人には、親族がなるケースもありますが、近年では司法書士などの「専門職後見人」が選任されることも増えています。
その理由は、以下のような実務的・法的なメリットがあるためです。
● 中立性と公平性:親族間の利害関係が絡まず、客観的な立場で判断できる
● 財産管理に精通:預貯金・不動産・契約関係の管理に強く、ミスなく対応できる
● 家庭裁判所との連携がスムーズ:報告書や許可申請などを適切に行える
● 長期間の継続が可能:親族が高齢化しても、安定した支援体制を維持できる
● トラブルの予防:きちんと記録を残し、将来の相続や争いに備えられる
特に、相続登記・遺産整理・不動産売却などが関わるケースでは、司法書士が後見人となることで全体の手続きを一貫して進めやすくなります。
✅ 成年後見制度の利用を検討する際のポイント
● 本人の状態(診断書の有無・認知症の程度)を把握しておく
● 家族で話し合い、候補者や方針を共有しておく
● 早めに専門家に相談し、最適な制度設計を検討する
※「いずれ必要になる」と思っていても、実際に判断能力が失われてからでは手続きに時間がかかるため、予防的な視点での検討が重要です。
✅ まとめ:成年後見制度は「今かもしれない」と思った時が検討のタイミング
✅ 通帳・不動産・契約の管理が不安になってきたら制度を検討
✅ 認知症や高齢化により本人が不利益を被る前に準備を
✅ 司法書士が後見人になることで、法的・実務的に安心できる支援が可能
✅ 本人の生活と財産を守るためにも、家族と専門家の協力体制が大切
弊所では、成年後見制度に関するご相談、申立て手続き、後見業務受任まで一貫して対応しております。
ご家族のことで気になることがある場合は、ぜひ弊所にご相談ください。
後見人が選ばれている場合の相続手続きの進め方とは?
成年後見制度を利用している方が亡くなった場合、後見制度は終了します。
しかし、そこから始まるのが「相続手続き」です。
ここでよくあるのが、
「後見人がそのまま相続手続きを進められるの?」
「相続人に後見人がついている場合、どうすればよいの?」
といった疑問です。
今回は、成年後見制度と相続手続きが交わる場面での実務上のポイントについて解説します。
✅ 本人が亡くなると、成年後見制度は終了する
成年後見制度は、本人が存命で判断能力が不十分な間に限って効力を持つ制度です。
そのため、本人が亡くなった場合、後見制度は自動的に終了します。
ただし、後見人には以下のような業務が残ります。
● 家庭裁判所への終了報告(収支・残高などの報告書の提出)
● 財産の引き継ぎ(通帳、不動産関係資料など)
● 必要に応じた支払い(葬儀費用、公共料金など)
※注意点として、後見人は相続手続きを代理することはできません。
✅ 後見人は相続人ではない限り、相続手続きを代理できない
後見人ができるのは、「本人の生前の代理」までです。
本人が亡くなった後、財産は相続人に承継されるため、後見人はその後の処分や登記の申請などを行うことはできません。
✅ 相続登記や預貯金の解約などは、相続人自身またはその代理人(委任を受けた者)が行う必要があります。
✅ 後見人が相続人であったとしても、遺産分割協議などは相続人の立場として行う必要があり、後見人としての権限とは切り離して考える必要があります。
✅ 相続人の中に後見人がついている人がいる場合の対応
相続人の中に成年被後見人(判断能力がない人)が含まれている場合には、次のような制限があります。
● 後見人が他の相続人と遺産分割協議をする場合、利益相反にあたる
● この場合は、家庭裁判所に「特別代理人」の選任申立てが必要
● 特別代理人が選任されて初めて、遺産分割協議が成立できる
この手続きを怠ると、後々協議が無効となるおそれがあり、相続登記や預金解約がスムーズに進まなくなる原因になります。
✅ 専門職後見人が関与している場合のメリット
後見人が司法書士などの専門職であった場合、相続人にとって次のようなメリットがあります。
✅ 財産の収支が明確に記録されており、相続財産の内容が把握しやすい
✅ 残高証明書や不動産関係書類などが整っているため、相続手続きが円滑
✅ 家庭裁判所との連携もスムーズで、必要書類の取り扱いも正確
そのため、相続発生後の手続きにスムーズに移行できるケースが多く、家族の負担軽減にもつながります。
✅ まとめ:後見と相続、それぞれの役割を理解してスムーズな手続きを
✅ 成年後見制度は本人の死亡により終了し、相続手続きは相続人の責任で進める
✅ 後見人が相続人でない限り、相続手続きの代理はできない
✅ 相続人に後見人がついている場合は、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要
✅ 専門職後見人がついていた場合、相続手続きがスムーズに進みやすい
✅ 相続登記や分割協議には法的なルールがあるため、早めに専門家へ相談を
弊所では、成年後見制度と相続の両方に関する豊富な実務経験をもとに、ご家族を丁寧にサポートしております。
相続人に後見人がついている、または後見制度を利用していた方が亡くなったなど、お困りの際はぜひ弊所にご相談ください。