- 相続手続き
- 登記簿上の所有者について相続が開始したこと
- 自分がその所有者の相続人であること
- 不動産の所有権が申出人へ移転したことを公示する
- 各相続人の持分を登記する
- 遺産分割協議を成立させる
- 不動産を売却する
- 不動産へ抵当権を設定する
- 相続登記の期限が近いが、遺産分割協議が終わっていない
- 連絡が取れない相続人がいる
- 相続人が多く、戸籍の収集や協議に時間がかかる
- 遺言の有効性や遺産の範囲について確認が必要である
- 誰が不動産を取得するか決まるまで時間を要する
- 相続人申告登記の申出書
- 登記簿上の所有者が亡くなったことを確認できる戸籍等
- 申出人がその相続人であることを確認できる戸籍等
- 申出人の住所を確認する書類
- 代理人へ依頼する場合の委任状
- 対象不動産の登記事項を確認できる資料
- 亡くなった方名義の不動産がどこにあるか
- 登記簿上の所有者が誰になっているか
- 遺言書があるか
- 誰が相続人となるか
- 通常の相続登記と相続人申告登記のどちらを選ぶか
- 相続登記の期限がいつになるか
- 申告登記を利用すべきか、通常の相続登記を進められるか
- 誰が申出を行い、誰の委任が必要か
- 対象となる不動産に漏れがないか
- 数次相続や代襲相続が発生していないか
- 遺産分割後に必要となる正式な相続登記
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
- 法務省「相続人申告登記について」
- 法務省「相続登記の申請義務化に関する概要資料」
- 法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」
- 法務省「相続登記の申請義務化の関係法令等」
- 土地・家屋の名義変更
- 所有権の登記名義人本人(法人を含みます)
- その相続人その他の一般承継人
- 上記の人から委任を受けた代理人
- 法務局の窓口へ書面を提出する
- 法務局へ書面を郵送する
- 登記・供託オンライン申請システムから請求する
- 請求人の本人確認に関する書類
- 亡くなった方との相続関係を確認できる戸籍謄本等、または法定相続情報一覧図の写し
- 過去の氏名や住所も検索する場合は、それを確認できる戸籍、住民票、戸籍の附票など
- 代理人が請求する場合は委任状など
- 書面請求:1,600円
- オンライン請求・郵送交付:1,500円
- オンライン請求・窓口交付:1,470円
- 登記簿上の住所が何度も前の住所のままになっている
- 旧字体・異体字など、氏名の表記に違いがある
- 所有権の登記がなく、建物の表示に関する登記だけがある
- 建物自体が未登記である
- 登記簿がコンピュータ化されていない
- 検索時点で登記申請が審査中で、まだ登記に反映されていない
- 固定資産税の納税通知書・課税明細書
- 心当たりのある市区町村の名寄帳
- 権利証・登記識別情報通知
- 売買契約書、贈与契約書、遺産分割協議書
- 通帳に記録された固定資産税の引落し
- 住民票の除票、戸籍の附票など、過去の住所を確認できる資料
- 自宅に届いていた土地管理・境界・農地関係の書類
- 誰が相続人になるのか
- 亡くなった方の過去の氏名・住所をどこまで検索するか
- 所有不動産記録証明書以外に、どの資料を確認すべきか
- 後から見つかった土地について、遺産分割や相続登記をどう進めるか
- 不要な土地について、売却・譲渡・国庫帰属のどれを検討するか
- 相続手続き
-
相続人同士で争いがある場合の代理交渉:弁護士の業務
-
相続税申告、税額計算、税務判断:税理士の業務
-
不動産の売却仲介や査定:宅地建物取引業者等の業務
-
家庭裁判所での調停・審判における代理:原則として弁護士の業務
-
遺言書、遺言書保管事実証明書など
-
亡くなった方と相続人の戸籍、住民票など
-
固定資産税の納税通知書、権利証、登記事項証明書
-
通帳、キャッシュカード、銀行からの郵便物
-
証券会社・保険会社からの通知
-
借入れ、住宅ローン、未払金に関する資料
-
相続人の氏名、住所、連絡先をまとめたメモ
- 土地・家屋の名義変更
-
2026年4月1日以後に住所・氏名等が変わった場合:変更日から2年以内
-
2026年3月31日以前に変更しており、登記が旧情報のままの場合:原則として2028年3月31日まで
-
相続登記
対象:相続によって不動産を取得した相続人
期限:原則として、自己のために相続が開始し、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内
過料:正当な理由なく申請しない場合、10万円以下 -
住所等変更登記
対象:登記名義人の住所・氏名・名称が変わった所有者
期限:原則として変更日から2年以内
過料:正当な理由なく申請しない場合、5万円以下 -
氏名
-
氏名の振り仮名
-
住所
-
生年月日
-
メールアドレス
-
現在の登記情報に問題がなく、将来の転居に備えたい
-
国内に複数の不動産を持っており、今後の変更漏れを防ぎたい
-
すぐに売却や担保設定などを行う予定がない
-
すでに登記簿の住所が古い
-
近く不動産を売却、贈与する予定がある
-
住宅ローンの借換え、追加融資、抵当権抹消などを予定している
-
複数回転居しており、登記簿上の住所から現住所までのつながりが複雑
-
旧住所と現在の氏名・住所の一致を示す書類がそろうか不安
-
法務局から案内や催告を受け取った
-
所有している土地・建物を洗い出す
-
登記事項証明書等で所有者の住所・氏名を確認する
-
現在の住所・氏名と違う不動産を分ける
-
売却、贈与、借換えなど今後の予定を確認する
-
検索用情報の申出で備えるか、通常の変更登記を先に行うか決める
-
登記簿上の住所・氏名と現在の情報の確認
-
必要な住民票、戸籍の附票等の検討
-
複数回の転居や旧姓がある場合の住所・氏名の沿革確認
-
所有不動産ごとの申請先と登録免許税の確認
-
売却、贈与、相続登記、抵当権関係手続との順序整理
-
検索用情報の申出を含む今後の変更漏れ防止
-
施行後の変更は、原則として変更日から2年以内
-
施行前の変更で未登記の場合は、原則として2028年3月31日まで
-
正当な理由なく対応しない場合は、5万円以下の過料の対象となる可能性がある
-
個人は、無料の検索用情報の申出によりスマート変更登記を利用できる
-
売却や融資などを急ぐ場合は、職権登記を待たず通常の申請を検討する
-
法務省「住所等変更登記の義務化」
https://www.moj.go.jp/MINJI/jushohenko/index.html -
法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00694.html -
法務省「検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00678.html -
法務省「スマート変更登記のご利用方法」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00688.html -
法務省「職権による住所等変更登記の手続イメージ(自然人の場合)」
https://www.moj.go.jp/content/001429902.pdf -
法務局「住所変更の登記を申請するために必要な書類と費用」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001381342.pdf -
法務省「所有者不動産記録証明制度について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00740.html - 相続手続き
- 申請件数:5,863件
- 国庫に帰属した件数:3,008件
- 却下件数:85件
- 不承認件数:96件
- 取下げ件数:1,102件
- 建物がある土地
- 抵当権などの担保権や使用収益権が設定されている土地
- 通路、墓地、境内地など、他人による使用が予定されている土地
- 土壌汚染がある土地
- 境界が明らかでない土地
- 所有権の範囲について争いがある土地
- 地上または地下に、管理や処分を妨げる物がある土地
- 危険な崖があるなど、通常より多くの管理費用を要する土地
- 一般の不動産市場で売却できないか
- 隣接地の所有者に譲渡できないか
- 地元の自治体や地域団体が活用できないか
- 農地であれば農業委員会等への相談が必要ではないか
- 国庫帰属の要件と費用を満たせるか
- 誰が土地を相続しているか
- 相続登記や共有者の整理が必要か
- 登記記録と現地の状況に違いがないか
- 国庫帰属以外の方法と比較すべきか
- 申請書や添付書類をどのように準備するか
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」
- 法務省「相続土地国庫帰属制度について」
- 申請できない土地・承認されない土地
- 負担金について
- 申請書類の作成を依頼できる専門家
- 相続土地国庫帰属制度のQ&A
- 横浜地方法務局・相続土地国庫帰属制度
相続人申告登記とは?遺産分割がまとまらないときの2027年期限対策を司法書士が解説
「父名義の実家について、兄弟の話し合いがまとまらない」
「連絡が取れない相続人がいるため、相続登記を進められない」
「2027年3月31日の期限が近いが、誰が不動産を取得するか決まっていない」
過去に発生した相続についても、相続登記の義務化は適用されます。
2024年4月1日より前から不動産を相続したことを知っていた場合、相続登記の期限は原則として2027年3月31日です。
しかし、相続人全員の話し合いが終わらなければ、遺産分割の内容に基づく相続登記はできません。
このようなときに、期限内の義務履行のために利用できるのが「相続人申告登記」です。
相続人申告登記は、通常の相続登記より簡易な手続ですが、不動産の名義を相続人へ変更する制度ではありません。
できることと、できないことを理解して選ぶ必要があります。
今回は、2026年9月28日現在の法務省の公表情報を基に、期限の考え方、相続人申告登記の効果、必要書類、手続後の注意点を解説します。
過去の相続にも相続登記の義務がある
相続登記の申請義務化は、2024年4月1日に始まりました。
原則として、不動産を相続によって取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。
義務化が始まる前に発生した相続も対象です。2024年4月1日より前から、不動産を相続したことを知っていた場合の期限は、原則として2027年3月31日です。
一方、2024年4月1日以後になって初めて、自分が不動産を相続したことを知った場合は、その知った日から3年以内が期限となります。
したがって、全ての過去の相続について一律に2027年3月31日が期限になるわけではありません。
相続の発生時期だけでなく、不動産を相続したことを知った時期も確認する必要があります。
正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
ただし、期限を過ぎた瞬間に自動的に過料が科されるという仕組みではありません。
法務省は、登記官が義務違反を把握した場合、原則として、まず登記申請をするよう催告し、それでも正当な理由なく申請しないときに裁判所へ過料事件の通知をする運用を示しています。
過料の有無だけでなく、相続人が増えて手続が複雑になる、売却や担保設定ができないといった不利益を避けるためにも、早めの整理が大切です。
相続人申告登記とは
相続人申告登記は、相続登記の期限内に遺産分割がまとまらない場合などに、簡易な方法で基本的な申請義務を履行できる制度です。
申出をする人は、対象となる不動産を特定したうえで、法務局に次の事実を申し出ます。
登記官が審査した後、申出をした相続人の氏名や住所などが登記簿に付記されます。
共同相続人の一人が、自分の分だけ単独で申し出ることができます。他の相続人の分もまとめて代理で申し出ることはできますが、その場合は各相続人からの委任が必要です。
重要なのは、一人が自分について申出をしただけで、他の相続人全員の義務まで履行されたことにはならないという点です。
各相続人が自分で申し出るか、代表者へ委任してまとめて申し出る必要があります。
相続人申告登記でできること
相続人申告登記を期限内に行うと、その申出をした相続人については、相続登記に関する基本的な申請義務を履行したものとみなされます。
通常の相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍などを集め、法定相続人全員を確認する場面が多くあります。
相続人申告登記では、原則として、申出をする本人が被相続人の相続人であることを確認できる範囲の戸籍で手続を進められます。
また、申出に登録免許税はかかりません。ただし、戸籍謄本等の取得費用や、司法書士へ依頼する場合の報酬などは別途必要です。
期限が迫る一方で、遺産分割協議の成立まで時間を要する場合には、現実的な選択肢となります。
相続人申告登記ではできないこと
相続人申告登記は「通常の相続登記の代わり」ではありません。
申出をしても、次のことは解決しません。
相続人申告登記をしただけでは、売却に必要な所有権移転の前提が整いません。
不動産を売る場合や融資の担保に入れる場合などは、最終的に通常の相続登記が必要です。
「申告登記をしたから相続手続は全て終了した」と誤解しないことが重要です。
遺産分割が成立した後は、改めて登記が必要
相続人申告登記をした後に遺産分割が成立し、その結果として不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく相続登記を申請しなければなりません。
この追加的な義務は、先に行った相続人申告登記だけでは履行できません。
つまり、相続人申告登記は、話し合いが終わるまでの間に基本的な義務を果たすための制度です。
その後、遺産分割がまとまった段階で、正式な名義変更を行う必要があります。
相続人申告登記が向いているケース
次のような場合には、相続人申告登記を検討する余地があります。
一方、相続人と遺産分割の内容がすでに確定している場合は、相続人申告登記を経由せず、通常の相続登記を行う方が一度で手続を終えられることがあります。
期限まで時間がある場合も、最初から相続人申告登記に決めるのではなく、通常の相続登記が可能かを先に確認することが大切です。
一般的に準備する書類
具体的な書類は相続関係や申出方法によって異なりますが、一般的には次の資料を確認します。
申出書に住民票上の氏名のふりがなと生年月日を記載した場合、住基ネットによる確認が可能となり、住所を確認する書類を省略できる場合があります。
数代にわたって相続登記がされていない場合は、中間の相続関係を確認する戸籍が追加で必要になるなど、書類が複雑になります。
期限までに確認したい5つのこと
不動産の場所が分からない場合は、2026年2月に始まった所有不動産記録証明制度も調査手段になります。
ただし、検索条件によっては不動産が抽出されないことがあります。詳しくは「親名義の不動産をどう探す?所有不動産記録証明制度」をご参照ください。
なお、100万円以下の土地などについて設けられている相続登記の登録免許税の免税措置も、現行の公表内容では2027年3月31日までです。
適用条件があるため、全ての相続登記が免税になるわけではありません。
司法書士に相談できること
司法書士は、相続登記や相続人申告登記の申出について、書類作成、戸籍の確認、法務局への手続などを支援できます。
当事務所では、次の点を整理します。
相続人間に法的な争いがあり、交渉や遺産分割調停等が必要な場合は、司法書士が扱える業務の範囲を確認したうえで、必要に応じて弁護士等の適切な相談先をご案内します。
まとめ
2024年4月1日より前から不動産を相続したことを知っていた場合、相続登記の期限は原則として2027年3月31日です。
遺産分割がまとまらないからといって、何もしないまま期限を迎える必要はありません。
相続人申告登記により、申出をした相続人について、基本的な申請義務を履行できる場合があります。
ただし、相続人申告登記は名義変更ではなく、不動産の売却や担保設定もできません。
遺産分割成立後は、その内容に基づく相続登記が改めて必要です。
茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で、古い相続登記、話し合いが終わっていない相続、相続人申告登記についてお困りの方は、木村光太朗司法書士事務所へご相談ください。
現在の資料を確認し、期限と選択肢を整理します。
FAQ
Q1.相続人の一人だけで相続人申告登記を申し出られますか?
はい。共同相続人の一人が、自分について単独で申し出ることができます。
他の相続人の分もまとめて代理で申し出る場合は、その相続人からの委任が必要です。
Q2.一人が申し出れば、相続人全員の義務が履行されますか?
いいえ。自分についてだけ申し出た場合、義務を履行したものとみなされるのは申出人本人です。
他の相続人は、それぞれ申し出るか、代表者へ委任して手続を行う必要があります。
Q3.相続人申告登記をすると、不動産は自分名義になりますか?
なりません。相続人申告登記は、所有権の移転や持分を公示する登記ではありません。
正式な名義変更には、別途、相続登記が必要です。
Q4.申告登記をした不動産を売却できますか?
相続人申告登記だけでは売却できません。
売却するには、遺産分割等を整え、取得者への相続登記を行う必要があります。
Q5.遺産分割が成立した後も、申告登記のままでよいですか?
いいえ。遺産分割によって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく相続登記を申請する義務があります。
Q6.相続人申告登記に登録免許税はかかりますか?
申出に登録免許税はかかりません。
ただし、戸籍等の取得費用、郵送料、司法書士へ依頼する場合の報酬などは別途必要です。
Q7.2027年3月31日を過ぎると、すぐ過料になりますか?
期限経過と同時に自動的に過料が科される仕組みではありません。
法務省は、登記官が義務違反を把握した場合には、原則としてまず催告する運用を示しています。
ただし、正当な理由なく義務に違反すれば10万円以下の過料の対象となる可能性があるため、期限前の対応が重要です。
一次情報・出典
公開日・最終更新日:2026年10月5日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)
親名義の不動産をどう探す?2026年開始の所有不動産記録証明制度を司法書士が解説
「父は地方にも土地を持っていると言っていたが、場所が分からない」
「固定資産税の通知書に載っている不動産だけで、本当に全部なのだろうか」
「相続登記が済んだと思っていたのに、後から別の土地が見つかった」
相続手続では、亡くなった方が所有していた不動産を正確に把握することが出発点です。
しかし、不動産の登記記録は土地・建物ごとに作成されているため、これまでは全国の不動産を名義人からまとめて確認する仕組みがありませんでした。
そこで2026年2月2日から始まったのが「所有不動産記録証明制度」です。
この制度を利用すると、本人またはその相続人などが法務局へ請求し、特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧にした証明書を取得できます。
ただし、この証明書だけで全ての不動産が必ず判明するわけではありません。今回は、制度で分かること、請求できる人、費用、必要書類に加え、登記実務上の検索漏れを防ぐポイントを解説します。
所有不動産記録証明制度とは
所有不動産記録証明制度は、登記官が、特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を検索し、一覧化して証明する制度です。
制度の主な目的は、相続人が亡くなった方名義の不動産を把握しやすくし、相続登記の漏れを防ぐことにあります。
従来は、固定資産税の納税通知書、市区町村の名寄帳、権利証、売買契約書などを手掛かりに不動産を調べることが一般的でした。
しかし、固定資産税や名寄帳は市区町村単位で管理されており、別の自治体にある土地まで一度に確認することはできません。
新制度により、最寄りの法務局へ請求し、登記情報を基に不動産を横断的に調べられるようになりました。書面請求のほか、郵送やオンラインによる請求も可能です。
誰が請求できるのか
法律上、請求できる主な人は次のとおりです。
相続人であれば、相続人全員が共同で請求する必要はなく、一人から請求できます。ただし、亡くなった方との相続関係を確認できる戸籍謄本や法定相続情報一覧図の写しなどが必要です。
第三者が興味本位で他人の所有不動産を調べられる制度ではありません。
どこで、どのように請求するのか
請求先は、全国の法務局・地方法務局、その支局・出張所です。不動産の所在地を管轄する法務局に限られず、最寄りの法務局へ請求できます。
請求方法は次の3通りです。
オンライン請求では、申請用総合ソフトと電子署名が必要です。
請求してから交付までの日数は法務局によって異なるため、急ぐ場合は請求先へ確認してください。
必要書類
相続人が、亡くなった方名義の不動産について請求する場合、一般的には次の資料を準備します。
具体的な添付書類は、窓口・郵送・オンラインの別や、請求人の立場によって異なります。
不足があると補完を求められ、一定期間内に補完できなければ証明書が交付されない場合があります。
手数料は「検索条件ごと」にかかる
手数料は、検索条件1件につき、証明書1通当たり次の金額です。
ここで注意したいのが、「1人につき1,600円」ではなく、「検索条件1件につき1,600円」という点です。
現在の住所に加え、過去の住所を3つ検索条件として指定する場合、検索条件は合計4件です。書面で1通請求するなら、4件×1,600円で6,400円となります。
該当する不動産が見つからなかった場合も、手数料は返還されません。
「載っていない=不動産がない」とは限らない
この制度を利用するうえで、最も大切な注意点です。
所有不動産記録証明書は、請求書に記載した氏名・住所などを検索条件として作成されます。
そのため、検索条件と登記記録が一致しないと、不動産が抽出されない場合があります。
例えば、次のような不動産は注意が必要です。
また、検索条件が一致する同姓同名の別人の不動産が抽出される可能性もあります。
したがって、この証明書は不動産調査の有力な資料ですが、「亡くなった方の不動産がこれで全てである」ことを完全に保証するものではありません。
検索漏れを減らすために確認したい資料
実務上は、所有不動産記録証明書だけに頼らず、次の資料を組み合わせて調査します。
特に、転居回数が多い方や、先代から相続した土地を持っていた方については、過去の住所をどこまで検索条件に入れるかが重要です。
証明書を取った後に行うこと
証明書に不動産が記載されていても、それだけで相続登記が完了するわけではありません。
記載された土地・建物ごとに登記事項証明書を取得し、所有者、共有持分、抵当権などの権利関係を確認します。
そのうえで、遺言書の有無、相続人、遺産分割の内容を整理し、相続登記を申請します。
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
2024年4月1日より前に始まった相続についても、原則として2027年3月31日までに対応が必要です。
調査で利用予定のない土地が見つかった場合は、売却、隣接地所有者への譲渡、相続土地国庫帰属制度なども比較します。
相続土地国庫帰属制度については、当事務所の関連記事「相続土地国庫帰属制度は実際に使える?」もご参照ください。
司法書士に相談できること
司法書士は、相続人や住所履歴の確認、所有不動産記録証明書の請求、証明書に記載された不動産の登記調査、相続登記まで一連の手続を支援できます。
当事務所では、次のような点を整理します。
預貯金、証券、不動産などの相続手続をまとめて進めたい場合は、「相続手続きをまとめて任せる遺産整理業務とは?」もご覧ください。
まとめ
所有不動産記録証明制度は、亡くなった方名義の不動産を把握し、相続登記の漏れを防ぐための有力な制度です。
最寄りの法務局から請求でき、不動産の所在地ごとに別々の法務局を回る必要はありません。
一方、検索は氏名・住所などの条件を基に行われるため、古い住所のままの登記、未登記建物、非コンピュータ化登記簿などが漏れる可能性があります。
「証明書に載っているものが全て」と決めつけず、固定資産税の資料、名寄帳、権利証、過去の住所履歴などと照合することが大切です。
茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で、親名義の不動産調査や相続登記にお困りの方は、木村光太朗司法書士事務所へご相談ください。
資料が十分にそろっていない段階でも、何から確認すべきか整理します。
FAQ
Q1.自分自身の所有不動産も調べられますか?
はい。所有権の登記名義人本人も請求できます。将来の相続に備えて、所有不動産を整理する目的にも利用できます。
Q2.相続人の一人だけでも請求できますか?
請求できます。相続人全員の共同請求は必要ありません。
ただし、亡くなった方との相続関係を確認できる戸籍謄本等または法定相続情報一覧図の写しなどが必要です。
Q3.全国にある不動産が必ず全て載りますか?
必ず全て載るとは限りません。検索条件と登記記録上の氏名・住所が一致しない不動産、所有権登記がない不動産、非コンピュータ化登記簿などは抽出されないことがあります。
Q4.未登記の建物も分かりますか?
分かりません。検索対象は所有権の登記がされている不動産です。
表示に関する登記だけの建物や、登記自体がない建物は対象外です。
Q5.「該当なし」の証明書が出れば、不動産はないと判断できますか?
それだけで断定はできません。旧住所や氏名表記の違いにより検索から漏れている可能性があるため、名寄帳、固定資産税資料、権利証なども確認します。
Q6.費用はいくらですか?
検索条件1件・証明書1通当たり、書面請求は1,600円、オンライン請求は受領方法に応じて1,500円または1,470円です。
過去の住所等を複数指定すると、その件数に応じて手数料が増えます。
Q7.司法書士に依頼できますか?
司法書士は、委任を受けて証明書の請求を行い、その後の登記調査や相続登記まで支援できます。
旧住所の整理や、証明書以外の資料との照合も含めて相談できます。
出典
公開日・最終更新日:2026年9月29日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)
相続手続きをまとめて任せる「遺産整理業務」とは?銀行等との費用・違いを司法書士が解説
「親が亡くなったが、銀行・証券会社・不動産の手続きをどこから始めればよいか分からない」
「仕事を休んで、平日に何度も窓口へ行くのが難しい」
「相続人が遠方に住んでいるため、書類のやり取りだけでも時間がかかる」
相続では、戸籍の収集、不動産の相続登記、預貯金の解約、証券口座の移管など、複数の窓口で手続を進めることがあります。
日本司法書士会連合会の相続情報サイトも、窓口が多数に分かれること、平日の日中の対応が多いこと、必要書類や期限があることを、相続手続が複雑になりやすい理由として挙げています。
こうした相続手続を、委任内容に応じてまとめて支援するのが「遺産整理業務」または「遺産承継業務」です。
今回は、遺産整理業務で依頼できること、司法書士だけでは対応できないこと、銀行等のサービスとの費用・役割の違い、相談前に準備したい資料を解説します。
遺産整理業務とは
「遺産整理業務」は、法律で一律に内容が決められた一つの手続名ではありません。
依頼者様との委任契約に基づき、相続関係や財産の状況を整理し、預貯金・有価証券・不動産などの承継手続をまとめて進めるサービスの総称として使われています。
対応範囲は、事務所や金融機関、相続財産の内容によって異なります。
そのため、名称だけで比べるのではなく、「どこまで料金に含まれるか」「何が別料金か」「誰が実際の手続を担当するか」を確認することが重要です。
遺産整理業務の主な流れ
当事務所での具体的な受任範囲は個別に確認しますが、一般的には次の順序で整理します。
1.遺言書と期限の確認
最初に、公正証書遺言、自宅で保管されていた自筆証書遺言、法務局に保管されている自筆証書遺言の有無を確認します。
相続放棄を検討する場合、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。
また、相続税の申告が必要な場合、原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内が期限です。
遺産整理を依頼するかどうかを考える前に、まず期限を過ぎる可能性がないかを確認します。
2.相続人の確認
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍などを収集し、法律上の相続人を確認します。
必要に応じて「法定相続情報一覧図」を作成して法務局へ申し出ると、その写しを不動産、預貯金など複数の相続手続で利用できます。
戸籍の束を各窓口へ繰り返し提出する負担を減らし、手続を並行して進めやすくなる場合があります。
3.相続財産と債務の整理
固定資産税の納税通知書、通帳、残高証明書、証券会社からの通知、保険関係書類、借入れに関する資料などを基に、財産と債務を整理します。
資料にない財産まで必ず発見できるわけではありません。郵便物、メール、確定申告書、取引履歴なども手掛かりにしながら、調査する範囲と方法を依頼者と確認します。
4.分け方を相続人全員で決める
遺言書がなく、相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を取得するかを相続人全員で協議します。
司法書士は、合意内容に基づく遺産分割協議書の作成や登記手続を支援できますが、相続人間の対立について一方の代理人として交渉することはできません。
話合いがまとまらない、使途不明金や遺留分などについて争いがある場合は、弁護士への相談が必要です。
遺産分割調停・審判など家庭裁判所の手続が必要になることもあります。
5.預貯金・証券・不動産などの承継手続
合意内容が固まった後、金融機関ごとの書類を整え、預貯金の解約・払戻し、証券口座の移管などを進めます。
不動産がある場合は、司法書士が相続登記を申請します。
金融機関によって書式や必要書類が異なり、同じ戸籍や印鑑証明書でも有効期限の扱いが異なることがあります。
全体の順序を組み、書類の取得回数を抑えることが、遺産整理業務を依頼するメリットの一つです。
6.相続人への引渡しと完了報告
各手続が完了したら、預り金や承継した財産を合意内容に沿って引き渡し、処理した手続と預り書類を報告します。
実際の方法は契約内容や金融機関の取扱いによって異なります。
司法書士にまとめて相談するメリット
相続登記と金融資産の手続を分断しにくい
相続財産に不動産が含まれる場合、相続登記は司法書士の中心的な業務です。
戸籍や遺産分割協議書を、不動産と金融資産の双方を見据えて準備できます。
担当者へ直接相談できる
当事務所では、相談内容と資料を確認したうえで、受任する範囲と見積りを事前にご説明します。
途中で税理士、弁護士、不動産会社などの関与が必要になった場合も、何を誰に相談すべきかを整理します。
必要な手続だけを選べる
「預貯金だけを依頼したい」「戸籍と法定相続情報一覧図まで頼みたい」「不動産を含めて全体を整理したい」など、状況によって必要な範囲は異なります。
すでに終わっている手続を重ねて依頼する必要はありません。
司法書士だけでは対応できないこと
遺産整理業務を「相続に関することを何でも代理できるサービス」と捉えるのは正確ではありません。
司法書士は裁判所提出書類の作成を支援できますが、代理できる範囲とは別です。
案件ごとに専門家の役割を分ける必要があります。
銀行等へ依頼する場合との違い
遺産整理業務は、銀行・信託銀行なども提供しています。
安心感、支店網、金融資産に関する窓口の集約などは金融機関の強みです。
一方で、料金体系や別途費用はサービスごとに違います。
2026年9月15日に確認した公開料金の一例では、ある大手銀行の一般的な相続手続代行サービスは、対象財産の額に応じた料率制で、最低手数料を110万円(税込)としています。
不動産の相続登記に必要な登録免許税・司法書士報酬や、相続税申告に必要な税理士報酬などは別途負担です。
同じ金融機関には、相続人5人以下、財産・取引金融機関数などの条件をすべて満たす場合に55万円(税込)となる別プランもあります。
一方、当事務所の料金表では、預貯金や株式口座に関する遺産承継業務について、財産額3,000万円の例を60万5,000円(税込)としています。
「司法書士なら銀行より必ず安い」と結論づけることはできません。対象財産、相続人数、金融機関数、不動産登記を含むか、財産の評価方法、実費、他士業の報酬が同じではないからです。
ただし、一般プランの最低手数料と比べると、司法書士に依頼された方が費用を抑えられるケースがあります。
また、司法書士へ直接依頼することで、相続登記を含めた法的手続の担当者が明確になる点も比較材料です。
依頼先を決めるときは、総額だけでなく、同じ前提条件で書面の見積りを取り、業務範囲と追加費用を比較してください。
初回相談でお持ちいただきたい資料
全てそろっていなくても相談できます。手元にあるものだけで構いません。
相続放棄を検討している場合や、借金の有無が分からない場合は、財産を処分する前に早めにご相談ください。
まとめ
遺産整理業務は、戸籍の収集、相続人・財産の整理、預貯金や証券の承継、不動産の相続登記などを、委任範囲に応じてまとめて進めるサービスです。
銀行等にも同様のサービスがありますが、料金体系、利用条件、別途費用、実際の担当範囲は異なります。
「どこが一番安いか」だけではなく、自分の相続で必要な手続が見積りに含まれているかを確認することが大切です。
木村光太朗司法書士事務所では、まず相続財産と必要な手続を整理し、当事務所で対応する範囲と費用をご説明します。
相続人間の争いや税務など、別の専門家が必要な内容は区別してご案内します。
茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で、「相続手続をまとめて相談したい」「平日に何度も窓口へ行けない」とお困りの方は、資料がそろっていない段階でもご相談ください。
FAQ
Q1.預貯金や証券口座だけでも依頼できますか?
はい。対応できる範囲は金融機関・証券会社や口座の状況によりますが、必要な部分だけを依頼できる場合があります。
初回相談時に、すでに済んでいる手続と残っている手続を確認します。
Q2.相続人全員の同意がなくても進められますか?
遺産分割が必要な場合、原則として相続人全員の合意が必要です。
一部の相続人を除いて分け方を決めることはできません。
連絡が取れない相続人がいる場合は、家庭裁判所の手続が必要になることがあります。
Q3.相続人同士でもめている場合も司法書士へ任せられますか?
司法書士が一方の相続人を代理して、相手方と遺産分割の交渉をすることはできません。
争いがある場合は弁護士へつなぎ、司法書士は必要に応じて登記や裁判所提出書類の作成など、対応できる範囲を担当します。
Q4.相続税の申告も料金に含まれますか?
相続税の申告・税務判断は税理士の業務で、司法書士の報酬には通常含まれません。
申告の可能性がある場合は税理士への相談を案内します。
相続税の申告期限は、原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
Q5.銀行に依頼するより安いですか?
一般的な銀行の料率制サービスと比べて費用を抑えられるケースはありますが、必ず安いとは限りません。
金融機関には条件付きの定額プランもあり、業務範囲や別途費用も異なります。
同じ条件で見積りを比較してください。
Q6.遠方に相続人や財産があっても相談できますか?
可能な場合があります。戸籍収集や書類の授受は郵送で進められることもあります。
不動産、金融機関、相続人の所在地と、現地対応が必要な手続の有無を確認してご案内します。
Q7.最初の相談までに書類を全て集める必要がありますか?
いいえ。手元にある通帳、固定資産税の通知、証券会社からの郵便物、遺言書などをお持ちください。
資料が不足している場合は、何をどの順番で集めるかから整理します。
出典・参考資料
公開日・最終更新日:2026年9月15日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)
住所変更登記はもう義務化|期限・過料・スマート変更登記を司法書士が解説
不動産を所有したまま引っ越した方へ。
住民票の転居届を出しても、不動産の登記簿に記録された所有者の住所が、当然に書き換わるわけではありません。
2026年4月1日から、不動産の所有者について住所や氏名・名称に変更があった場合の「住所等変更登記」が義務化されました。
結論を先にまとめると、期限は次のとおりです。
正当な理由なく期限内に登記をしない場合、5万円以下の過料の対象となる可能性があります。
一方、個人の所有者は、無料の「検索用情報の申出」をしておくことで、法務局が住所等の変更を確認し、本人の了解を得たうえで職権登記を行う「スマート変更登記」を利用できます。
この記事では、義務の内容、期限、過料までの流れ、スマート変更登記と自分で申請する住所変更登記の違い、今すぐ確認した方がよいケースを、司法書士が整理します。
住所等変更登記とは
不動産の登記簿には、土地や建物の所有者の氏名・名称と住所が記録されています。
所有者が引っ越したときは「所有権登記名義人住所変更登記」、婚姻などで氏名が変わったときは「所有権登記名義人氏名変更登記」などにより、登記簿の情報を現在の情報へ変更します。
法人名義の不動産について、本店や主たる事務所、名称が変わった場合も対象です。
2026年4月1日からは、所有権の登記名義人に住所・氏名・名称の変更があったとき、原則として変更日から2年以内に変更登記を申請することが法律上の義務となりました。
これは相続登記の義務化とは別の制度です。
相続登記と住所等変更登記の違い
相続登記を済ませて現在の所有者名義にした後、その所有者が転居した場合には、住所等変更登記の問題が別に生じます。
義務化より前に引っ越していた場合の期限
今回の義務化は、2026年4月1日以後の引っ越しや氏名変更だけを対象とするものではありません。
2026年3月31日以前に住所や氏名等が変わっており、登記簿が古い情報のままの場合も対象になります。この場合は、原則として2028年3月31日までに対応する必要があります。
例えば、2018年に自宅を購入し、2022年に転居したものの、売却予定がなかったため登記を変更していない方も確認が必要です。
転居届を市区町村へ提出したことと、登記簿の住所を変更したことは別の手続です。まずは登記事項証明書などで、登記簿上の住所が現在の住所と一致しているか確認してください。
期限を過ぎると、すぐ5万円を払うのか
「2年を過ぎた瞬間に、自動的に5万円を請求される」という制度ではありません。
法務省のQ&Aでは、登記官が義務違反を把握した場合、まず義務を負う方へ登記をするよう催告書を送付する運用が示されています。
催告を受けても正当な理由なく登記をしない場合、裁判所への過料通知の対象となる可能性があります。
過料を科すか、金額をいくらにするかは、最終的には裁判所が判断します。
したがって、法律上の結論は「正当な理由なく期限内に申請しなければ5万円以下の過料の対象となり得る」であり、「期限を1日過ぎれば必ず5万円」という意味ではありません。
ただし、催告を待ってよいわけではありません。
売却、贈与、住宅ローンの借換えや抵当権抹消などを予定している場合、登記名義人の住所が現在の住所とつながらなければ、先に住所変更登記が必要になることがあります。
早めに確認する方が安全です。
スマート変更登記とは
スマート変更登記は、法務局が職権で住所・氏名の変更登記を行う仕組みです。
個人の所有者があらかじめ「検索用情報の申出」をすると、法務局が住民基本台帳ネットワークの情報と照合し、住所等の変更を把握します。
その後、所有者本人の了解を得たうえで、登記官が職権で変更登記を行います。
職権登記が行われれば、住所等変更登記の義務は履行したことになります。
重要なのは、検索用情報を申し出た瞬間に、将来の変更が無条件で自動登記されるわけではないという点です。
法務局から職権登記の可否について確認があったときは、その内容を確認して対応する必要があります。
検索用情報として申し出る主な情報は、次のとおりです。
氏名の振り仮名、生年月日、メールアドレスは検索・連絡のための情報であり、そのまま不動産の登記事項として公開されるものではありません。
すでに不動産を所有している方は、法務省の「かんたん登記申請」からオンラインで申し出るか、申出書を管轄の登記所へ提出・送付する方法があります。
検索用情報の申出自体は無料です。
スマート変更登記と通常の申請はどう使い分けるか
スマート変更登記は便利ですが、すべての方が「何もしなくてよい」制度ではありません。
スマート変更登記を検討しやすい方
通常の住所変更登記を早めに検討した方がよい方
職権登記が行われる時期を前提に取引日程を組むべきではありません。
急ぐ事情がある場合は、自ら住所変更登記を申請する方法を検討します。
自分で住所変更登記をする場合の費用と書類
通常の住所変更登記を自分で申請する場合、登録免許税は原則として不動産1個につき1,000円です。
土地1筆と建物1棟であれば、合計2個として2,000円が基本です。
区画整理、住居表示の実施、行政区画の変更など、変更原因によっては登録免許税の取扱いが異なる場合があります。
必要書類は状況によって異なりますが、一般には、登記簿上の住所から現在の住所までのつながりを確認できる住民票、住民票の除票、戸籍の附票などを使用します。
転居回数が多い場合や保存期間の経過により公的書類だけで住所の沿革をつなげられない場合は、追加資料を含めて個別に検討します。
この点は法令上の申請義務とは別に、登記実務上、登記名義人が同一人物であることをどの資料で確認できるかという問題です。
まず5分でできる確認
次の順番で確認すると、対応方針を整理しやすくなります。
不動産の所在地を漏れなく把握できているか心配な場合には、2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度なども検討材料になります。
ただし、検索条件と登記簿上の氏名・住所が一致しないと結果に出ない可能性があるため、固定資産税の納税通知書、権利証・登記識別情報通知なども併せて確認することが大切です。
司法書士に相談できること
司法書士は、住所・氏名変更登記の申請代理や申請書類の作成を業務として行うことができます。
弊所では、次のような点を確認しながら手続を整理します。
茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市など湘南地域で、不動産の登記住所が古いままか分からない方は、
登記事項証明書、権利証または登記識別情報通知、固定資産税の納税通知書、現在の住民票など、お手元にある資料をお持ちください。
すべてそろっていなくても、必要な確認から整理します。
まとめ
2026年4月1日から、住所等変更登記はすでに義務化されています。
まずは「登記簿に今の住所が載っているか」を確認することが出発点です。
ご自身のケースで、スマート変更登記への備えでよいのか、現在の住所変更登記を先に申請した方がよいのか判断が難しい場合は、木村光太朗司法書士事務所へご相談ください。
よくある質問
Q1. 住民票を移せば、不動産の登記住所も自動で変わりますか?
検索用情報の申出をしていない場合、住民票の転居届だけで登記簿が当然に書き換わるわけではありません。
検索用情報を申し出た場合も、法務局が変更を把握し、本人の了解を得て職権登記を行う流れです。
Q2. 2026年4月1日より前に引っ越していた場合も対象ですか?
対象です。施行前の変更が未登記の場合は、原則として2028年3月31日までに対応する必要があります。
Q3. 期限を過ぎると必ず5万円の過料ですか?
必ず5万円になるわけではありません。正当な理由なく義務に違反した場合に5万円以下の過料の対象となり得ます。
法務省は、登記官が義務違反を把握した場合、まず催告する運用を示しています。
Q4. スマート変更登記は無料ですか?
利用の前提となる検索用情報の申出は無料です。
法務局が職権で住所等変更登記を行う場合も、本人が通常の登記申請をする場合の登録免許税とは取扱いが異なります。
Q5. 土地と建物の両方を持っています。通常申請の登録免許税はいくらですか?
原則として不動産1個につき1,000円です。土地1筆と建物1棟であれば、基本は合計2,000円です。
変更原因等により取扱いが異なることがあります。
Q6. 近く自宅を売却します。スマート変更登記を待てばよいですか?
売却日程がある場合は、職権登記の時期を前提にせず、通常の住所変更登記を先に申請する必要がないか確認するのが安全です。
Q7. 相続登記前に亡くなった方の住所が古い場合は、住所変更登記が必要ですか?
相続登記では、亡くなった方と登記名義人が同一人物であることを、住民票の除票や戸籍の附票等で確認します。
通常の住所変更登記を別途申請するかどうかは相続登記と同じではなく、事案に応じて必要書類を判断します。
参考資料
公開日・最終確認日:2026年9月7日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)
相続土地国庫帰属制度は実際に使える?国庫帰属3,008件―2026年最新統計を司法書士が解説
「親から相続した山林が遠方にあり、管理に行けない」
「使う予定のない農地や空き地を、子どもに残したくない」
このような悩みを抱えている方にとって、相続した土地を国に引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」は、有力な選択肢の一つです。
法務省は2026年8月21日、同制度に関する最新の統計を公表しました。
今回は、2026年7月31日現在の統計を基に、実際の利用状況、申請できる土地の条件、必要な費用、司法書士が支援できる範囲を解説します。
相続土地国庫帰属制度とは
相続土地国庫帰属制度は、相続または相続人に対する遺贈によって取得した土地について、一定の条件を満たした場合に、所有権を国庫へ帰属させる制度です。
相続放棄とは異なり、預貯金や自宅などの財産を相続しながら、利用予定のない特定の土地について国庫帰属を検討できる点が特徴です。
ただし、申請すれば必ず国が引き取ってくれる制度ではありません。法令上の要件を満たし、法務局による書面審査や実地調査を経て承認される必要があります。
最新統計では国庫帰属が3,008件
法務省の統計によると、2026年7月31日現在の状況は次のとおりです。
国庫に帰属した土地の内訳は、宅地1,115件、農用地964件、森林199件、その他730件です。
一方、取下げ1,102件のうち571件は、自治体や隣接地所有者などから土地を有効利用できる見込みが示されたことによるものです。
制度の検討過程で、売却、隣接地所有者への譲渡、自治体等による活用といった別の解決方法が見つかる場合もあることが分かります。
なお、3,008件を申請総数5,863件で割った数字を、そのまま「承認率」と捉えることはできません。申請総数には審査中の案件や取下げられた案件も含まれるためです。
申請できる人
原則として、相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得した所有者が申請できます。
土地が共有の場合は、共有者全員で共同申請する必要があります。
共有者のうち少なくとも一人が相続等によって持分を取得している場合には、他の共有者が売買などで持分を取得していても、一定の条件の下で共同申請できることがあります。
一方、土地を単独で購入した人が「使わなくなった」という理由だけで申請することはできません。
国庫帰属が難しい土地
次のような土地は、申請段階で却下されたり、審査の結果として不承認となったりする可能性があります。
例えば、古い家屋が残っている場合は、そのままでは申請できません。
建物を取り壊したとしても、境界や埋設物など、ほかの要件について改めて確認する必要があります。
申請に必要な費用
申請時には、土地1筆につき1万4,000円の審査手数料が必要です。
審査手数料は、申請を取り下げた場合や不承認となった場合でも原則として返還されません。
さらに、承認を受けた後には、国による10年分の管理費用に相当する負担金を納付します。
負担金は20万円を基準とする土地もありますが、市街地の宅地、農用地、森林などは、土地の種類や面積に応じて金額が増える場合があります。
建物の解体、境界の確認、残置物の撤去などが必要な場合は、それらの費用も別途考えなければなりません。
まず国庫帰属だけに決めないことが重要
利用予定のない土地であっても、最初から国庫帰属だけに絞る必要はありません。
申請前に、次の可能性を比較することが大切です。
法務局への事前相談を利用するときも、登記事項証明書、公図、地積測量図、現地写真、固定資産税の納税通知書などを準備しておくと、相談を進めやすくなります。
司法書士に相談できること
司法書士は、相続土地国庫帰属制度の申請書や添付書類の作成を業務として行うことができます。
また、相続関係や共有関係の確認、相続登記、登記記録と公図の確認などは、制度の利用を検討するうえで重要な準備となります。
ただし、国庫帰属の申請そのものを、司法書士が通常の代理人として行うことはできません。申請者本人または法定代理人が申請する制度であることには注意が必要です。
当事務所では、次のような点を整理しながら、制度を利用できる可能性を検討します。
測量、建物解体、売却、税務など他分野の確認が必要な場合には、必要な相談先を含めて整理します。
まとめ
2026年7月末までに、相続土地国庫帰属制度を利用して3,008件の土地が国庫に帰属しています。
制度が実際に利用されていることは確かですが、土地の状態、境界、権利関係、管理上の負担などによっては利用できません。
申請手数料や負担金に加え、申請前の整備費用が必要になる場合もあります。
相続した土地を「使わないからすぐ国へ」と考えるのではなく、登記と現地の状況を確認し、売却や譲渡などの可能性も含めて比較することが大切です。
茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で、相続した土地や相続登記についてお困りの方は、木村光太朗司法書士事務所へご相談ください。
土地が遠方にある場合も、まずは資料を基に必要な手続きを整理します。
FAQ
Q1.建物が残っている土地でも申請できますか?
建物がある土地は申請できません。建物を取り壊した後も、境界、担保権、埋設物など、ほかの要件を満たす必要があります。
Q2.自分で購入した土地を国に引き取ってもらえますか?
購入によって取得した土地だけでは、原則として申請できません。相続または相続人に対する遺贈によって取得した土地が対象です。
Q3.共有名義の土地でも利用できますか?
利用できる可能性はありますが、共有者全員による共同申請が必要です。共有者の所在や相続関係を先に整理しなければならない場合があります。
Q4.申請すれば必ず承認されますか?
必ず承認されるわけではありません。書面審査や実地調査が行われ、却下、不承認または取下げとなる場合があります。
Q5.司法書士にすべて任せられますか?
司法書士は申請書や添付書類の作成、相続登記、権利関係の整理などを行えます。ただし、国庫帰属の申請自体は、原則として所有者本人または法定代理人が行います。
Q6.最初に何を準備すればよいですか?
登記事項証明書、公図、地積測量図、現地写真、固定資産税の納税通知書などがあると、土地の状況を整理しやすくなります。
相続した土地や相続登記についてのご相談は、当事務所の「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。
出典
公開日・最終更新日:2026年8月31日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)


